抄録
【背景】Apatite[Ca5(PO4)3(OH, F, Cl)]は、岩石-流体間相互作用により三成分固溶体をつくる。東南極のセール・ロンダーネ山地に産する角閃岩とグラニュライトからは、450-650℃、0.2-0.6GPaにおいてFluorapatite (F-Ap)がChlorapatite(Cl-Ap)に置換されている鉱物脈が観察された。本研究では水熱反応実験により、地殻条件下でのF-Ap置換反応の実験的再現を試みた。
【方法】本研究ではバッチ式熱水実験装置を用いて350-450℃、40-50MPa、F-Ap+10wt%NaCl溶液、OH-Ap+100ppm、1000ppmNaF溶液で水熱実験を行った。これらを160時間反応させ、FE-SEMを用いて表面観察、組成分析を行った。
【理論】以上の実験に対して、SUPCRT92のデータにアパタイトとHClの熱力学データを追加し反応を検討した結果、アパタイトのF-OH-Cl置換は流体/岩石比および溶液のpHに影響を受けることが示唆された。以上実験結果よりアパタイトと流体間で一価のハロゲン、水酸基が置換される温度、圧力、溶液条件について議論する。