日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2018年年会
セッションID: R1-06
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R1:鉱物記載・分析評価
繊維状電気石の特徴とナノ繊維状電気石の発見
*白勢 洋平上原 誠一郎
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抄録
電気石超族鉱物は,花崗岩をはじめとする多くの岩石中に副成分鉱物として含まれている。繊維状電気石については,化学組成の多様性が報告されているが,その形態的特徴や形成過程は明らかにされていない。今回は,日本列島の産状の異なる繊維状電気石について分析を行った。いずれの電気石もX席はNaと空位に富むが,Caの含有量は産状により異なる(0-0.16 apfu)。Y席については田上山,崎浜産電気石はFeに富むが,西南日本外帯の花崗岩及びペグマタイト,スカルン鉱床中のものはMgも多く含む。単結晶の端面にエッチピットが確認できるものがあり,組成累帯構造からも溶解・再成長組織が観察された。繊維状電気石は単結晶とc軸を共有しホモエピタキシャル成長したと考えられる。一方で,田上山産の晶洞中の細毛状の電気石は,他の繊維状電気石とは大きく異なり,細いものでは直径100 nm,長さ50 μm程度(軸比500)の湾曲した繊維状結晶の集合からなる。このナノ繊維状電気石は六角柱状であり,TEM観察の結果からc軸方向に伸長しており結晶性が高いこともわかった。ナノ繊維状電気石は気相成長によって形成されたと考えられる。
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