日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2018年年会
セッションID: R1-07
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R1:鉱物記載・分析評価
熊本県八代市泉町下岳に産する蛇紋石脈中の繊維状蛇紋石の産状について
*延寿 里美上原 誠一郎
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抄録

本研究地である熊本県八代市下岳はorthochrysotile及び、類似した構造をもつortho-type PSに非常に富んでおり、産状ごとに異なる繊維状蛇紋石の組み合わせを持つ。本研究では片状蛇紋岩中の蛇紋石のTEM観察等を行うことで脈中の繊維の配向等の三次元的な産状を明らかにし、その形成過程の推察を行った。蛇紋石脈のほとんどは幅2,3 mm程度の直線的な脈で、Ortho-type PSに富む。それに対し、一部にはclino-及びortho-chrysotileに富むより太い脈がみられ、肉眼的に二相に分かれていた。TEMの観察結果より前者はランダムな配列のortho-type PS及びchrysotileにより構成され、後者は鱗片の伸長方向に配列したchrysotileによって構成されていた。両者の境界は直線的で、境界部において幅数百nmほどの鱗片の伸長方向に直角に配向したchrysotileからなる細脈がみられ、繊維方向に沿う形で亀裂が生じていた。このような産状は脈内における、静的な環境での形成から、動的な環境における剪断破壊と配向を伴う形成への変化を反映していると考えられる。

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