福島県御斎所鉱山からは多種の含水ヒ酸塩鉱物が産出することが知られるが、一部はそのデータが引用できる形で公表されておらず、実体が不明となっている。また近年になり海外で含水ヒ酸塩鉱物の新種が報告される例が増えてきたことから、多種の含水ヒ酸塩鉱物を産出する福島県御斎所鉱山においても再検討が望まれる。1990年代後半に御斎所鉱山から採集された試料を調査したところ、カステラロ石(Castellaroite)、コラロ石(Coralloite)、ミゲルロメロ石(Miguelromeroite)、パラブランド石(Parabrandtite)を新たに確認できたのでここに報告する。いずれの含水ヒ酸塩鉱物もケイ酸塩を主体とするマンガン鉱石に生じる裂傷の隙間および鉱石を切る脈として生じている。