医療
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麻酔科における帯状庖疹の治療
―90例の臨床的検討―
木村 重雄井戸 幸男治部 哲哉
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1977 年 31 巻 8 号 p. 765-769

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抄録
1年9ヵ月の間に, 帯状庖疹90例を診察し, 罹患部の星状神経節プロツク, または硬膜外プロツクを局麻剤で繰り返し行つた. 2週間以内に来院した77例は, 治療によく反応したが, 高令者ほど, 多くのプロツク回数を必要とした. そして, 帯状萢疹後神経痛への移行は2例だけであり, 非プロツク群に比し著しく少なかつたが, 2週間を経過して来院した症例は, 約半数に痛みを残した. 12例 (約13%) が免疫抑髄療法を受けており, 罹患範囲も広く (1例は汎発性), 重篤で, 治療に抵抗した. 更に神経プロツク療法は, 単なる痛みの対症療法にとどまらず, 知覚障害, 所属りンパ節腫脹, 浮腫などの改善にも有効であると思われた。 以上により, 急性期の帯状庖疹に対しては, 発症後早期より, 交感神経節プロツクを行うことが最良と考え, 今後も実施していく方針であるが, 患者に恐怖心を与えることも多く, 手技の習熟と共に, 信頼関係の確立に努力したい.
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© 一般社団法人国立医療学会
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