日常的にまぶしさを感じていたASDのある男子中学生1名に遮光眼鏡を装用してもらい,効果を検討した。まず,遮光眼鏡の文字の読みへの効果をMNREAD-Jを用いて検討したところ,遮光眼鏡を装用することですぐに文字が読みやすくなるという結果は得られなかった。次に,遮光眼鏡を1カ月間自由に使ってもらい,行動や心理の変化をインタビュー調査とQOL評価とで検討した。インタビュー調査から,遮光眼鏡の効果は,まぶしさが減ったこと,取り組みの意欲が高まったこと,見えにくさの理解が高まったことであるとわかった。QOL評価の結果からは,遮光眼鏡使用後に自尊感情が高まった可能性が示された。これらの結果から,遮光眼鏡は即時的に読み能力は向上しなくても,まぶしさを感じているASDのある子どもへの,取り組み意欲や自己理解を促す支援として,有効な方法であることが示唆された。