景観生態学
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「森林機能評価基準」による北海道白老町ウヨロ川流域の水土保全機能評価
森本 淳子竹位 尚子佐藤 弘和金子 正美中村 太士
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2009 年 13 巻 1_2 号 p. 113-121

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抄録
洪水や水質への対策が求められる北海道白老町のウヨロ川流域を事例地として,北海道の「森林機能評価基準」の検証を行った.戦後の復興期,高度経済成長期後,そしてバブル経済崩壊後の3つの年代を取り上げ,3小流域の水土保全機能の評価点と,社会的背景とそれに伴う植生変化との整合性を調べた.その結果,一斉皆伐により,一時的に水土保全機能の評価点が大きく低下すること,森林が採石地に転換された場合は,長期的に水土保全機能の評価点が低下する要因になりうること,水土保全機能のなかでも,渇水・洪水緩和機能の評価点が森林開発に対してもっとも敏感に反応すること,水質保全機能の評価点は,急傾斜地の渓畔域が広く開発された場合に大きく低下することがわかった.3小流域の水土保全機能の評価点は,社会的背景とそれに伴う土地利用変化からは概ね解釈可能なものであった.一方,他の小流域の評価点との比較から課題も浮かび上がった.評価点算出の手順の単純化と,最終的な評価点に対する判断基準の明示が,より市民にとって分りやすい評価基準とするために必要である.
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© 2009 日本景観生態学会
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