景観生態学
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選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
原著論文
  • 津田 美子, 津田 智
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 29 巻 p. 1-16
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    長野県軽井沢町のカラマツ人工林風倒跡地において,二次林の成立過程を調査した.草本群落から木本群落への連続的な種組成の変化を分析するため,積算優占度SDR3-FCHを用いた.調査地の相観は,裸地から草原を経て,14年後には落葉広葉樹二次林に変化した.一年草と二年草は攪乱直後に出現し,2−3年目にその大半が消失した.草本群落から木本群落への移行期には,多年草と先駆樹種の多くが減少あるいは消失した.本調査地では,一年草,二年草,多年草,先駆樹種,二次林構成種が攪乱後の裸地に比較的短期間で出現し,この順序で消失するというメカニズムによって二次遷移が進行したことが明らかになった.

  • 森定 伸, 波田 善夫, 鎌田 磨人
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 29 巻 p. 17-32
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    景観は人間活動としての社会的過程と生物的―非生物的環境要素からなる生態的過程との相互作用系としての社会―生態系として存在している.しかし,景観パターンやその変化を,社会的・自然的要因の双方から明らかにしようとした研究は少ない.本研究では,隠岐諸島での土地利用の空間配置を,人文・社会科学的な研究で蓄積されてきた成果を参照しながら,地質・地形的要因と地理的・社会的要因を加味した空間モデルを用いることで表現することを試みた.すなわち,植生図に基づく土地利用型を目的変数として,地質的要素を考慮しながら,地形によって規定される傾斜,水のたまりやすさ,風当り,日射量や,当該土地利用までのアクセス性に関連する地理的要因としての海岸線からの距離や集落からの距離といった環境要因と,土地利用型の空間配置とを関連づけるMaxentモデルを構築した.その結果,1) 島内で水田稲作を行える水条件の良い沖積平野が優先的に選択され,水田として使われるようになった,2) 沖積平野やその周辺で生活に必要な水を確保しやすい場所に居住地がつくられてきた,3) 水田や居住地周辺のやや乾燥した土地や海沿いの土地に畑地がつくられた,4) 耕作地や居住地は夏の台風の暴風や冬季卓越風を避けるような場所に作られた,5) 集落や水田から遠方,もしくは急斜面地で活用がままならなかったところに自然林が残された,6) 牧畑跡地や燃料等の供給源であった里山林は,水田や畑地として利用可能な土地条件の場と,利用不可能な土地条件の場との狭間に位置している,7) 土地利用型の配置は,近接的には地形要因に,究極的には地質要因に支配されることを自然科学的側面から定量的に表現し,仮説検証を行うことができた.加えて,こうした定量評価によって,仮説では分離できていなかった牧畑跡地と里山林との土地選択要因の差異も浮き彫りにすることができた.

  • 鎌田 安里紗, 鎌田 磨人, 長井 雅史, 井庭 崇
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 29 巻 p. 75-91
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    生物多様性は地域によって異なる特性を有することから,管理や保全に当たっては地域の様々な主体が連携し,地域の実情に即した目標の設定や具体的な施策を検討する必要がある.その鍵となり得る生物多様性地域戦略は,特に基礎自治体において十分に策定が進んでおらず,2030年ネイチャーポジティブの実現に向けて一層の推進が必要となる.推進に向けた一つの方策として市民団体による地域戦略策定への関与が挙げられる.徳島県では,「生物多様性とくしま戦略」の策定にあたり,複数の市民団体と研究者によって自発的に組織された「生物多様性とくしま会議」が大きな役割を果たした.本稿では,当地域において協働を推進してきた実践者の行動に着目し,とくしま会議による活動の展開のプロセスを詳細に提示するとともに,パターン・ランゲージの手法を用いて経験則を体系的に把握,提示することを試みた.市民団体が民意をまとめる集団として機能し,自治体の地域戦略策定の推進力となっていくプロセスは,合意形成の実践でもある.また,市民や事業者の参加・連携を促し,ともに成長していくエンパワーメントの機会ともなっていた.そうした観点から本研究で見出された24のパターンについて考察し,他地域において地域戦略の策定を進めるプロセスをデザインするための技術としての活用可能性を検討した.

調査研究報告
  • 山崎 嵩拓, 飯田 晶子, 三上 修
    原稿種別: 調査研究報告
    2024 年 29 巻 p. 33-36
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/20
    ジャーナル フリー

    人類の過半数は都市に住んでおり,彼らが環境に配慮した姿勢や行動をとることは,持続可能な社会を実現するうえで重要である.その際,都市における日常的な自然体験が環境配慮型への移行を促す可能性が指摘されているが,その効果に関する研究は限られている.また,従来の研究では高関心層に焦点が当てられており,低関心層が自然体験することによる環境意識に与える影響については不明確であった.本研究は,都市公園での「ゆるい」生物調査への参加が,大学生の環境意識に影響を与えるという仮説のもと,非生物系専攻の大学生14名を対象に,都市公園での生物の判定や記録を伴わない「ゆるい」生物調査を実施し,その効果を評価するためのアンケート調査を行った.結果として,参加者の環境意識に変化が見られた.特に野生動物に対する忌避感が減少し,野生動物を尊重する意識が高まった.簡易的な方法によって自然環境に意識を向ける動機さえあれば,都市の中であっても,かつ,低関心層であっても,環境意識を変えられる可能性が示唆された.

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特集 「Nature Positive の実現に向けた潮流~その可能性と課題~」
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