スギ人工林の林床における絶滅危惧種ハナガガシの出現確率を,ロジスティック回帰分析により推定した.分析の結果,ハナガガシの出現はスギ林の林齢と地形に依存しており,斜面下部を含む高齢林で高かった.ROC曲線を描いて最も予測能力の高くなるしきい値を求めたところ,出現確率の推定値を17%で判断するのが最適であると判断された.このときのハナガガシの出現した林分を正しく出現すると判断する率(sensitivity)は0.90であり,出現しなかった林分を正しく出現しなかったと判断する率(specificity)は0.73であった.また,各プロットについて正しく判断される割合(全体精度)は0.78であり,今回の解析によって比較的高い精度でハナガガシの出現確率を推定することが可能であった.