2017 年 21 巻 2 号 p. 89-95
米国では25の長期生態学研究(LTER)プロジェクトが大型の研究ネットワークを形成しており,そのうちフェニックス市(CAP)とボルチモア市(BES)のプロジェクトは共同研究,教育プログラム,都市計画支援,大型研究資金の互いの相乗効果を利用することで,都市地域の生態学を包括的に研究している.特に都市の循環系を調べる研究では,グリーン・インフラストラクチャー(GI)におけるアダプティブ・マネージメントを通して,都市における生態学の新しい在り方を追求できる可能性がある.しかしグリーン・ルーフや温室栽培システムで土壌に使われる人工的な素材は,GIで使われる事例が増えているにも関わらず,土壌科学や循環系の科学で体系的に研究されていないため,GIとLTERの接点が限られる.このような障壁を乗り越え,都市化の進んだ地域でGIの研究を進めることで,都市計画やデザイン分野にも様々な貢献ができると考えられる.