景観生態学
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特集「海浜植物群落の保全・復元に向けた取り組み―景観生態学からの展望」
海浜植物群落の保全と復元について:系統地理学と集団遺伝学からの提言
瀬戸口 浩彰
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2017 年 22 巻 2 号 p. 43-51

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抄録

海浜植物には種子散布が海流によって長距離に及ぶものが多く,また匍匐茎が拡がって多くのラメットを形成するものも多く存在する.そのために,海浜植物は系統地理構造を作りにくく,遺伝的な多様性が低いというイメージがある.本稿では,DNAデータを用いた系統地理学と集団遺伝学のいくつかの知見をもとにして,海浜植物群落を保全や復元するにあたっての注意点を提起した.ハマヒルガオとハマエンドウでは日本列島全域にわたって地理構造は存在しなかった.その一方で,集団内の遺伝的多様度は高く,外交配による実生繁殖が集団維持に貢献していることがわかった.ハマダイコンは果実の海流散布能力が高いにもかかわらず,日本列島内で明瞭な南北分化を起こしており,これは花芽形成に必要な春化の必要性が温暖な地域では失われていることが原因になっていた.海浜植物の系統地理構造や集団遺伝構造の研究は事例が少ないため,今後に更なる研究の蓄積が必要である.また,研究事例が無い植物の場合には,出来るだけ近隣地域から個体を導入すること,実生苗の作出による遺伝的多様性の確保が必要である.

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© 2017 日本景観生態学会
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