2019 年 10 巻 2 号 p. 79-91
本研究の目的は,障がいを有した働き盛りの患者の理学療法への取り組みに対する意欲を向上させるための知見を得ることである.対象は,理学療法に積極的かつ意欲的に取り組んでいる40 歳代の男性入院患者である.方法は解釈学的現象学的分析とし,手順としては,本患者に半構造化面接を行い,理学療法を積極的かつ意欲的に取り組める理由について聞きとり,理学療法への取り組みに対する意欲を分析した.結果は,本患者の理学療法への取り組みに対する意欲を9 つのテーマから解釈することができた.テーマは,半年限定,家族や妻の存在,男のプライド,苦痛を意欲に変化させる力,関係性から構成される意欲等が示された.我々は,これらに着目した理学療法実践時の声かけや配慮,工夫が理学療法への取り組みに対する意欲の向上に大切になると結論づけた.