保健医療学雑誌
Online ISSN : 2185-0399
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原著
  • Nobuyuki Honda, Rumi Tanemura, Kazue Noda
    原稿種別: Original article
    2025 年16 巻2 号 p. 24-39
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/10/02
    ジャーナル フリー

    【Introduction】Individuals with acquired brain injury (ABI) often face significant challenges related to self-awareness, which can hinder their rehabilitation and daily functioning. Impaired self-awareness is one of the most disruptive cognitive deficits post-ABI, impacting social reintegration and long-term outcomes. Improving self-awareness is therefore essential for recovery, as it enables individuals to recognize cognitive deficits, develop compensatory strategies, and participate more effectively in rehabilitation. 【Methods】 Using a single-system ABA design, 20 participants with ABI were enrolled in a 3-month GT program consisting of 13 weekly sessions. The intervention included psychoeducation, self-monitoring, and structured feedback within small-group activities. Self-awareness was assessed at four time points using the Self-Regulation Skills Interview─Japanese version (SRSI-J). Repeated-measures ANOVA and Bonferroni-adjusted comparisons were conducted, and effect sizes (η2) were calculated. 【Results】 Eighteen participants completed the study. Significant improvements were observed in EA, AA, SU, and SE between pre- and post-intervention, which were maintained at follow-up (p<0.05). No significant changes were found in SG and MC, but their stability may reflect sustained motivation. Qualitative analysis of three illustrative cases revealed personalized gains in task performance and self-monitoring. 【Conclusion】 This study demonstrates that short-term GT can effectively improve key aspects of self-awareness. Its structured yet time-efficient format may offer practical benefits for rehabilitation programs in outpatient and community settings. These findings suggest the potential utility of brief group interventions for enhancing metacognitive function in individuals with ABI.

  • 松本 光平, 田中 則子, 境 隆弘, 成 俊弼, 森下 聖, 福與 千鶴, 池上 慶篤, 平田 海, 木村 佳記, 小柳 磨毅
    原稿種別: 原著
    2025 年16 巻2 号 p. 40-46
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/10/02
    ジャーナル フリー
    【緒言】我々は野球肘の予防を目的に,スチレン系エラストマー(Thermoplastic styrene elastomer; TPS)を素材とした,弾性肘サポーターを考案した.しかし,TPSの硬度と伸長量が,肘外反制動に及ぼす影響は不明である.本研究の目的は,TPSの硬度と伸長量がモデル肘の外反運動に対する制動トルクに及ぼす影響を明らかにすることとした.【方法】モデル肘をトルク試験機に取り付け,他動的な外反運動に対してTPSが発揮する制動トルクを計測した.計測は4条件のTPS硬度(5, 15, 20, 30)と3条件の伸長量(1倍,2倍,3倍)を組み合わせた12条件で実施した.統計処理には,Kruskal-Wallis検定とBonferroni補正による比較を行った(有意水準5%).【結果】外反運動に対するTPSの最大外反制動トルク(単位:Nm,伸長量1倍/2倍/3倍の順)は,硬度5:0.22/0.28/0.33,硬度15:0.23/0.40/0.52,硬度20:0.25/0.58/0.80,硬度30:0.25/0.76/1.16であった.伸長量1倍の硬度20と硬度30間を除いて,TPSは硬度と伸長量が大きくなるに従って,最大外反制動トルクが有意に増加した(p<0.05).【結論】TPSの硬度が高く,伸長量が大きいほど,モデル肘の外反運動に対する最大外反制動トルクは増加した.
  • 久保 温子, 平尾 文, 仙波 梨沙, 溝田 勝彦, 尾鷲 百佳子
    原稿種別: 原著
    2025 年16 巻2 号 p. 47-52
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/10/02
    ジャーナル フリー

    【緒言】本研究は,新型コロナウイルス感染症流行により,全国的な臨時休校と緊急事態宣言が発令された2020年から2023年5月に5類感染症に指定されるまでの期間を含む,2018年と2023年の5歳児の運動能力比較を行い,近年の幼児の運動能力の基礎データを構築することを目指した.【方法】A市およびB市の3つの保育園を対象に,保護者の同意を得た5歳児を対象に調査を実施した.測定項目は,身長・体重と7つの運動能力(25m走,ソフトボール投げ,捕球,体支持持続時間,立ち幅跳び,両足連続跳び越し,握力)である.統計解析にはMann-Whitney U検定および対応のないt検定を用い,差異を比較し効果量を算出した.【結果】25m走および両足連続跳び越しでは記録が有意に低下し,また体支持持続時間と握では有意に低値となり,小から中程度の効果量が示された.一方,身長,体重,ソフトボール投げ,捕球,立ち幅跳びにおいては有意差が認められなかった.【結論】本研究の結果は,新型コロナウイルス感染症パンデミック時の身体活動制限が幼児期の運動発達に影響を与えた可能性を示唆している.特にプレゴールデンエイジとされる幼児期は,多様な運動経験が重要であり,その不足が長期的な運動能力の発達に影響する可能性がある.コロナ禍後の運動機会の確保が,幼児の健全な成長を促進する鍵となることが示唆された.

短報
  • 城野 靖朋, 飯塚 照史, 吉留 純一
    原稿種別: 短報
    2025 年16 巻2 号 p. 53-59
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/10/02
    ジャーナル フリー

    【緒言】本研究では,他動運動中に生じる伸張反射によるひっかかり(Catch)について,Catchを誘発する他動運動角速度とCatchの大きさから閾値の同定を試みた.また,運動開始位置の違いがCatchの出現角度と大きさに及ぼす影響を観察した.【方法】対象は痙縮のある地域在住の片麻痺者6名.肘関節最大屈曲位,および中間位からの伸展他動運動中に生じるCatchの他動運動角速度を慣性センサで記録した.他動運動角速度は主観的なCatchの有無による上下法で調整し,各対象者,各条件,20試行実施した.他動運動角速度とCatchの大きさから閾値を決定し,閾値レベルのCatch試行を分析した.【結果】全例,全条件で閾値レベルのCatch試行が同定された.運動開始位置の違いによってCatch出現までの運動量,Catchが出現する位置に有意な差は観察されたが,Catchが出現する相対的な角度とCatchの大きさに有意な差はなかった.【結論】他動運動角速度とCatchの大きさから閾値を同定できたことから,閾値を基準として他動運動角速度を統制したCatchの観察が可能であることが示された.運動開始位置はCatchの出現する角度に影響を及ぼすが,相対的な出現角度への影響は観察されなかった.このことから,相対的なCatchの出現角度は運動開始位置に影響を受けにくい定量的な指標になる可能性が示された.

症例研究
  • 中谷 謙, 芝 さやか, 舘 幸枝, 辰巳 郁子, 田中 裕
    原稿種別: 症例研究
    2025 年16 巻2 号 p. 60-67
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/10/02
    ジャーナル フリー

    【緒言】「話しにくさ」を主訴として受診し,文レベルの発話時に非流暢性を呈した症例について報告する.症例は,単語レベルの発話は流暢ながらも,文レベルで言いよどみやポーズの挿入による非流暢性が顕著となり,音の連結不良と考えられる症状を呈した.本症例には,「話しにくさ」や発話速度低下の自覚があり,その症状は徐々に進行した.【対象】80歳台前半の右利き男性.初回評価時および15カ月経過時の認知機能検査は正常範囲内であった.SLTAでは文レベルの発話課題で非流暢性を認めたが,その他の項目に異常はみられず,典型的な失語症ではないと考えられた.運動機能障害や口腔顔面失行はみられず,構音障害も否定的であった.発話時に,一貫性のある音の歪みは認められなかった.【評価と経過】クリニックの外来受診時に実施したフォローアップと評価で得られた経時的な言語症状の記録をもとに,本症例の「話しにくさ」に関連する要因を考察した.【結論】原発性進行性発語失行とは,神経変性疾患によって,失語の症状がなく,発語失行のみが進行する症候群を指す.発語失行の特徴として,「全体的な発話速度の低下」,「音節,単語,句などの間隔の長さ」,「発話の長さ,音節や単語の構音の複雑さに伴い生じる困難さ」が挙げられる.本症例がプロソディ型の原発性進行性発語失行を呈している可能性について検討した.

  • 辰巳 郁子, 中谷 謙, 田中 裕
    原稿種別: 症例研究
    2025 年16 巻2 号 p. 68-75
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/10/02
    ジャーナル フリー

    【緒言】音の引き延ばしを主体とした特徴的な発話を呈する認知症の一例を経験したため,言語症状の変遷を含めて報告する.本症例の特徴は,病巣は側頭葉内側および頭頂葉と後方病変に位置するものの,言語症状はプロソディ障害をはじめとする前方病変を思わせるような特徴を認めた点である.【方法】前院にてX年にアルツハイマー型認知症の疑いと診断後,X+6年からX+6年+49ヵ月まで1ヵ月に1回,外来受診時に言語聴覚士による認知機能の評価および言語症状のフォローアップを行った.【結果】本症例の認知症のタイプは,観察所見からアルツハイマー型認知症の特徴を認めるも,認知症だけでは説明しきれない音の引き延ばしを主体とする特徴的な発話が認められた.音の引き延ばし,音の途切れ,努力性は,発話時だけでなく,静止時においても意味不明なフレーズとして出現した.出現機序として発声発語器官に関する機能ごとに症状を整理した上で,発声失行,運動性構音障害,発語失行,原発性進行性発語失行,失語症,音声チックの特徴と照合した.ただし,滞続言語のような自発的に同じ内容の“語り”は,前方病変で生じるとされる先行研究と異なり,本例の病巣および観察所見と合致しない点もみられた.【結論】本研究では,検査および観察所見から発声発語器官の機能ごとに整理し,特徴的な発話がどこからくるものなのか検証を試みたが,本症例には重度の難聴があり,音声教示を要する検査は実施困難であったため,評価には限界があった.いずれが主要な要因と考えられるのか解明されたとは言い難いが,数年にわたり経時的に記録することで,認知症における多彩な言語症状の発現とその変化を知る手がかりとなった.

報告
  • 袴田 友樹, 菅沼 惇一, 土谷 明男
    原稿種別: 報告
    2025 年16 巻2 号 p. 76-83
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/10/02
    ジャーナル フリー

    【目的】本報告の目的は,転倒恐怖感が強い左大腿骨近位部骨折術後の一症例に対して,排泄動作の自立を目指した理学療法介入と看護助手への介助技術評価・指導を行った事例について考察することである.【対象と方法】60歳代男性,移乗時に転倒し左人工骨頭置換術を施行された.以前より左片麻痺があり,入院前より排泄動作はポータブルトイレを使用して自立していた.初期評価時,排泄動作には中等度介助・転倒恐怖感は10(きわめて強く感じる),左上肢・手指・下肢はいずれもBrunnstrom Recovery Stage(以下,BRS)Ⅱ,右上下肢筋力はManual Muscle Testにて4であった.介助技術の評価は,理学療法士が看護助手に対して排泄動作を対象としたテストを行い12点であった.この中でも対象者の動きに合わせて介助ができたのか,動作を妨げない位置で介助ができたのかといった評価項目が最も低い点数であった.理学療法では排泄動作の自立に向けた介入を行った.看護助手にはテスト結果に基づき介助技術を指導した.【結果】術後6日目には排泄動作は監視レベルとなった.また看護助手の排泄介助テストは30点となった.最終評価時,排泄動作はポータブルトイレを使用して自立,転倒恐怖感は0(全く感じない),左BRS・筋力は著変なかった.【結論】理学療法介入に加えて看護助手への介助技術評価・指導を行うことは,排泄動作の自立に寄与する可能性が示唆された.

資料
  • -慢性期脳卒中患者 3 症例を通して-
    殿﨑 雄太, 鈴木 宏和, 赤松 泰典, 藤井 廉, 田中 慎一郎, 齋藤 直路
    原稿種別: 資料
    2025 年16 巻2 号 p. 84-91
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2025/10/02
    ジャーナル フリー

    【諸言】本報告では,保険外リハビリテーション施設で取り組んでいるサービスの内容について,実際の事例の経過を踏まえ記述する.【症例紹介】症例1は60代女性で左脳梗塞による右片麻痺,症例2は70代女性で右脳梗塞による左片麻痺,症例3は50代女性でくも膜下出血による左片麻痺を呈していた.SIASの下肢運動項目(Hip/Knee/Ankle)は症例1(4/4/3),症例2(3/3/0),症例3(2/1/0),歩行速度は症例1(0.74m/s),症例2(0.37m/s),症例3(0.24m/s)であった.【介入と経過】3名の症例はいずれも90分/回×8回の8回プラン(税込158,400円)で契約し,週1回の頻度で2ヶ月間のリハビリサービスを受けた.全例で,療法士による機能訓練に加えて,リハ医との医療面談を実施した.実際の医療面談では目標や予後,リハビリ方針に加えて,症例1では長距離歩行時に出現する痙縮症状,症例2では運動習慣と服薬管理,症例3では使用装具の適合性などについて話し合いが行われた.その中でも,症例1について,リハ医が痙縮に対するボトックス注射を提案し,その後近隣医療機関で施行に至ったことで,歩行能力の改善を認めるとともに,最終的には外出頻度の増加を認めた.【結論】機能訓練と医療連携を統合したサービス提供は,機能回復に加えて,対象者の活動や社会参加を促進する上で,重要であると考えられた.

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