保健医療学雑誌
Online ISSN : 2185-0399
ISSN-L : 2185-0399
10周年記念特別号
保健医療学学会創立および保健医療学雑誌創刊10 周年に寄せて
羽崎 完
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2020 年 10 巻 3 号 p. 122-

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抄録

元号が平成から令和に変わる時代の節目に,本学会が保健医療に関係する多くの専門領域の研究者の交流,研究支援,社会貢献を目的に設立されてから10 年を迎えることは,誠に喜ばしく,心よりお祝いの言葉を申し上げます.また,本学会の機関誌である保健医療学雑誌が,創刊からこれまで欠号することなく10 年間発刊できたことも大変喜ばしく,重ねてお祝い申し上げます.これも,ひとえに森禎章会長をはじめ理事,事務局,編集委員の先生方のご尽力のたまものと,深く敬意を表します. さて,この10 年間はまさに「光陰矢のごとし」,あっという間でした.しかし,保健医療を取り巻く環境や社会情勢は,目覚ましく変化しました.また,変化しつつあります.地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化,在宅医療と介護の連携推進,一億総活躍社会の実現に向けた障害者雇用,高齢者の健康寿命延伸,労働者の心の健康の保持増進,高度医療の発展にともなう諸問題, ICT の活用,リーン・ヘルスケア,グローバル・ヘルス・リーダーの育成など,我々が取り組むべき課題は枚挙にいとまがありません.これらの多様な課題に対応するために,保健医療に関係する多様な職種で構成される本学会の果たすべき役割は,ますます重大となります. また,この10 年間で理学療法士・作業療法士などのコメディカルスタッフの人数が,さらに急増しました.そして急増にともなって,医療サービスの質がいささか低下しつつあるように感じます.次年度には指定規則改定による新カリキュラムがスタートしますが,学内教育で質を十分に向上させることは困難ではないかと危惧いたします.本学会が,卒後教育の一環として機能し,医療サービスの質の向上に貢献する必要性を強く感じます.さらに,保健医療分野の研究を取り巻く環境も大きく変化しました.研究者には,研究を適切に実施する上で,個人情報保護を含む研究対象者保護の観点から,研究者等が守るべき高度な倫理指針の遵守が求められるようになりました.また,COSMIN CONSORTSTROBE など種々の研究についての国際基準や声明が発表・報告され,精密で高度な手法による研究が求められています.本学会が,研究を始めたばかりの若手研究者の教育の場として,高い研究倫理のもとエビデンスレベルの高い研究を行う研究者の育成に寄与することを強く望みます. 本学会は創立10 年とまだまだ若い学会ですが,次の10 年,その次の10 年とその社会的役割を果たしつつさらに発展を続け,伝統ある学会となることを祈念いたします.

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© 2020 保健医療学学会
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