保健医療学雑誌
Online ISSN : 2185-0399
ISSN-L : 2185-0399
原著
変形性膝関節症患者に対する腹臥位の膝伸展トレーニングに おける筋活動特性
境 隆弘 小柳 磨毅眞田 祐太朗野谷 優羽崎 完中江 徳彦
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2021 年 12 巻 1 号 p. 31-37

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抄録

要旨 変形性膝関節症(knee osteoarthritis:膝OA)患者の症状の進行には大腿四頭筋の筋力低下が影響し,また大腿四頭筋の筋力トレーニングによって,疼痛や日常生活活動が改善するとされる.そのため,膝OA 患者にとって,大腿四頭筋筋力の維持と増強は極めて重要な課題である.本研究の目的は,膝OA 患者に有効な大腿四頭筋トレーニングを提唱することである.膝OA 患者に対し,上肢で支持しない腹臥位の膝伸展トレーニング(knee extension training in the prone positionKETP)中の大腿四頭筋活動を,大腿四頭筋セッティング(quadriceps settingQS)やstraight leg raise トレーニング(SLR)と比較した. 骨盤と対側下肢も挙上する課題とした.対象は,膝OA と診断された外来患者7名11 膝とした(平均年齢75.9±4.8 歳,BMI 22.3±2.9Kellgren Lawrence gradeⅡ~Ⅲ).両側の罹患例は4 例であった.表面筋電計を使 用して,各トレーニング中の内側広筋斜頭,外側広筋,大腿直筋の筋電位を計測し,筋活動量を徒手筋力検査法(manual muscle testingMMT)の段階3の筋電位で標準化した.統計学的解析は危険率5%にて,一元配置分散分析の後,Tukey-Kramer 法を用いた. 計測の結果,QS SLR に比較して,全ての被験筋でKETP の筋活動量が最も高値を示した.膝OA 患者は,高齢で上肢や足部の運動機能が低下することが多い.KETP は上肢や足部の支持を必要とせず,かつQSSLR よりも大腿四頭筋活動が高いため,膝OA 患者に対して有効な筋力トレーニングとなる可能性が示唆された. KETP は,一側の下腿遠位に置かれた支点に対して膝関節を伸展させ,

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