保健医療学雑誌
Online ISSN : 2185-0399
ISSN-L : 2185-0399
原著
肺がん周術期における身体機能の推移
濱田 麻紀子明埼 禎輝 冨永 律子黒河 英彰中田 英二山下 素弘杉原 進介
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2021 年 12 巻 1 号 p. 45-51

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抄録

要旨 【目的】本研究では、肺葉切除術を施行された患者を対象として,入院中におけるリハビリテーション実施後の身体機能の推移を検討した.また術前慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary DiseaseCOPD)合併の有無による違いも分析した. 【方法】肺葉切除術を施行しリハビリテーションを実施した35 例(開胸8 / Video assisted thoracoscopic surgery 27 例,平均年齢69.5 歳)を対象とし,術前,術後7 日目の骨格筋量,握力,6 分間歩行距離の推移とCOPD 合併有無による差異を検討した. 【結果】術後の骨格筋量に関して四肢骨格筋指数の有意な低下(p=0.108)は認めなかったが,部位別に検討すると下肢筋指数は有意に低下(p=0.003)していた.また握力(p=0.012),6 分間歩行距離(p0.0001)もそれぞれ有意な低下を認めた.COPD 合併有無による各項目の差異は認めなかった. 【結論】肺葉切除患者において,運動耐容能に加えて上肢筋指数,下肢筋指数の評価の重要性が明らかになった.また軽症,中等症COPD 合併患者では,骨格筋指数や運動耐容能にはCOPD 合併の有無の影響が少ないことが示された.

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