保健医療学雑誌
Online ISSN : 2185-0399
ISSN-L : 2185-0399
総説
たこつぼ型心筋症
藤岡 重和大中 玄彦和田 晋一
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2017 年 8 巻 1 号 p. 64-72

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抄録

要旨: たこつぼ型心筋症はわが国で発見され,世界に発信された心疾患である.精神的,身体的ストレスを誘因とし,急性心筋梗塞に類似した前胸部痛と心電図異常で発症する.典型例では,左室心尖部の風船状膨隆と心基部の過収縮という特異な収縮形態を呈するが,こうした収縮異常は可逆的で,通常数週間で正常化することが本症の特徴である.当初,予後良好な疾患と考えられていたが,急性期に心原性ショック,心破裂をきたし死亡することがあり,急性心筋梗塞に準じた経過観察の必要性が再認識されるようになった.最近では,運動負荷などの検査,手術,精神科治療などの医療行為,自然災害による発症が国内外より多数報告されており,本症はどの診療科においても遭遇する可能性がある.本稿では,たこつぼ型心筋症の病態,急性期診断,治療,予後などを中心に概説する.

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© 2017 保健医療学学会
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