メディア・英語・コミュニケーション
Online ISSN : 2436-8016
Print ISSN : 2186-1420
招聘論文
より深く、より高く読むために
世界制作と学術的視点を用いて
石上 文正
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 8 巻 1 号 p. 29-47

詳細
抄録

本稿の目的は、筆者が考えている英文テクストの「深い読み方」と「高い読み方」を紹介することにある。もし、この二つの読み方が実践できれば、英語のリーディングの授業がよりいっそう、興味深いものになることが期待できるであろう。読む対象は、日本を開国するために来日した M.ペリーの遠征記の一部である。「深い読み」とは、分析的な読みを通して、隠されている意味を明らかにする方法である。このための手法として、N. グッドマンの「世界制作(worldmaking)」理論の次の「製法=processes」を利用する――(a) 合成と分解、(b) 重みづけ、(c) 順序づけ、(d) 削除と補充、(e) 変形。これらの製法によって、テクスト、つまり世界の制作メカニズムを見ることができる。これらの製法は、その数が少ないので、利用しやすいと考えられる。「深い読み」は、ことばそのものの読みが基本だが、「高い読み」は、テクストから少し離れて、つまり「高い学問的視点」から、テクストの内容を考える読み方である。その結果、ペリーは、 当時新しく形成されつつあった近代家族のなかで育った人間であるという仮説が導きだされた。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本メディア英語学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nd/4.0/deed.ja
次の記事
feedback
Top