日本顎顔面インプラント学会誌
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総説
口腔顎顔面外傷治療後のインプラントを用いた顎口腔機能回復
管野 貴浩関根 浄治
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2017 年 16 巻 2 号 p. 57-68

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抄録

 口腔顎顔面外傷に併発する顎堤および歯の欠損に対する顎顔面インプラント治療は,近年予知性の高い有用な治療手段として広く受け入れられている.顎口腔をユニットとして捉え,形態審美性と機能性を兼ね備えた理想的インプラント補綴治療と,予治性の高いインプラント補綴周囲組織の長期安定性を確保するには,インプラント前外科として顎堤および歯槽堤形成,骨造成治療をはじめ,歯科専門各科による集学的治療が重要となる.われわれは,口腔顎顔面外傷後のインプラントによる機能形態回復治療に対しては,①歯科医学の集学的治療を適応し,また外傷性顎堤萎縮に対しては,②3次元的に可能な限り多くの骨造成を,各種骨再生治療法により図り,③インプラント周囲軟組織形成(遊離歯肉移植術など)を行い,メンテナンス管理を行うことにより長期安定性を得てきた.さらに,これらの詳細な診断と治療には,各種画像診断シミュレーションソフトを用いてインプラント治療を行う,④コンピューターアシスト手術の応用により,安全かつ精密な治療を可能としてきた.そこで,われわれが取り組んできた,外傷初療からの治療ゴールを見据えた歯科包括的集学的なインプラントを用いた形態機能回復治療について詳説する.

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© 2017 公益社団法人 日本顎顔面インプラント学会
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