日本顎顔面インプラント学会誌
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総説
下顎骨の構造上の特徴―形態学的および生化学的見地から―
柴田 俊一
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キーワード: 下顎骨, 膜性骨, 置換骨
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2017 年 16 巻 2 号 p. 69-74

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抄録

 ヒト下顎骨は胎齢7週にメッケル軟骨の外側で将来のオトガイ孔付近に最初の骨化点が出現し,後方,前方へと拡張するが,それは血管に沿って伸びる「骨小柱」の形成によって進行する.出生後は骨表面に追加される層板骨の形成によって進行するとともに,骨形成と骨吸収がカップリングした「モデリング」によって下顎骨独特の形態が整えられて行く.成人の下顎骨は基部をなす「基底骨」に歯の形成に伴う「歯槽部」さらに筋の発達に伴う「筋部」が追加され,成長期終了とともに下顎骨の形態が一応整えられる.しかし部分的な骨形成,骨吸収は引き続き継続し生涯にわたって下顎骨の形態は変化し続ける.無歯顎になるとまず歯槽部が吸収し,続いて咀嚼力の低下に伴って筋部が退縮し基底骨のみが最後まで残存する.歯槽部の吸収過程には一定のパターンがあり,まず頰舌的には頰側の吸収が進行し,歯槽の中央部を結ぶラインまで至ると舌側からの吸収も進行し,その部分に弓状の顎堤が形成されることになる.

 また下顎骨を含む膜性骨と,四肢骨を含む置換骨は発生由来の違いの他,有機成分や骨吸収の受けやすさといった生化学的な性状の違いも報告されている.

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© 2017 公益社団法人 日本顎顔面インプラント学会
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