2001 年 21 巻 6 号 p. 407-415
急速な高齢化や在宅医療の推進という社会的背景とリハビリテーション(以下リハビリと略す)の専門家不足の状況等から,遠隔リハビリの必要性がますます増加していると考えられる.このような状況の中で,筆者らは1997年より,リハビリにおける手の機能測定を中心とした遠隔(在宅)リハビリを支援するシステムの研究開発を行ってきた.しかしこの遠隔リハビリ支援システムを試用した医師と療法士の評価として,一般的な遠隔リハビリ指導に利用することはできるが,厳密な回復度の評価には利用困難との指摘があった.
そこで,リハビリ訓練の関節可動域を計測し定量的なデータとして捉えることができれば,回復の評価データになると考え,訓練中のモニター画像から計測を試みた.実験結果より,関節可動域を検出できることが明らかとなった.今後,さらに誤差を改善すれば,遠隔(在宅)リハビリ訓練において回復度の評価にも用いることができ,遠隔(在宅)リハビリ指導にとって有効な支援技法になると考えられる.