医療情報学
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特集 デジタルヘルスの新未来―第44回医療情報学連合大会(第25回日本医療情報学会学術大会)―
大会企画1
大会企画2
  • 今井 健, 山下 貴範, 栢 真由, 小寺 聡, 高江洲 勲, 宍戸 常寿
    原稿種別: 大会企画2
    2025 年45 巻4 号 p. 179-185
    発行日: 2025/10/08
    公開日: 2026/10/08
    ジャーナル フリー

    【セッション抄録】

     近年大きく発展を遂げた深層学習技術の中で,Decoder部分を擁し,いわゆる生成能力を有するAI機構は広く生成AIと呼ばれる.2017年Attention機構を導入したTransformerの出現を契機に,大規模言語モデル(Large Language Model:LLM),またさらにテキストデータに留まらず,数値などの構造化データや画像・波形データなど多様な形式のデータを取り扱う大規模マルチモーダルモデル(Large Multi-modal Model:LMM)など大きく発展を遂げており,各種診断診療支援や,診療業務効率化,標準化医療情報の流通支援をはじめ医療における多様な利活用の期待が高まっている.世界的な開発競争が進む一方で,倫理的・法的・社会的課題ELSI (Ethical, Legal and Social Issues)も開発者と利用者の双方にとって極めて重要であり,現状の正確な理解と多様なステークホルダーを交えた議論の醸成が急がれる局面となっている.

     このような背景のもと,本セッションでは,まず医療側の視点から開発が進められている国内生成AIの健康医療への実装の現状について1)SIP生成AIプロジェクトにおけるLLM開発と保健医療行政支援に向けた取り組み,2)生成AIによる医療文書作成支援のベンダーによる取り組み,ならびに病院内における実証,3)循環器内科におけるマルチモーダルモデルの開発応用の取り組みについて5名の演者から紹介頂く.次に,ELSIを語る上でも欠かせない技術的側面からの理解として,LLMの情報漏洩リスクと対応について解説頂く.最後にこれらを踏まえた上で,法的・倫理的側面,ならびに社会ガバナンスの在り方の観点から医療における生成AIの取り扱いの現状と今後の方向性について提言を頂いた後,パネルディスカッション形式にて総合討論を行う.

学会企画
  • 中島 直樹, 小笠原 克彦, 武田 理宏, 脇 嘉代, 谷川 琢海, 白鳥 義宗, 岡田 美保子
    原稿種別: 学会企画
    2025 年45 巻4 号 p. 187-192
    発行日: 2025/10/08
    公開日: 2026/10/08
    ジャーナル フリー

    【セッション抄録】

     日本医療情報学会医療情報技師育成部会は,2003年の発足後20余年にわたり医療情報技師は約25,000人以上,上級医療情報技師は約500人以上を認定してきた.また,日本医療情報学会も1983年に発足して以降,数々の学会員の研究や議論の場を提供してきた.それらの結果,医療情報技師や学会員の多くが在籍する中大規模病院やベンダーの電子化は一定の範囲内で平滑に進み,また2020年からのパンデミックにおいても各施設における対策に貢献してきた.これらは時代が変わっても,学術学会として揺るぎないコア活動であり続けるだろう.

     一方,その間に日本ではバブル経済を経て「失われた30年」と呼ばれる長い低迷が続き,超少子高齢社会を迎えて,格差社会が生じている.東日本大震災を代表とする数々の自然災害を被り,2020年からは新型コロナのパンデミックに悩まされた.2022年からはウクライナやガザ地区で火力抗争が勃発し石油,食料,半導体などの流通に影響を及ぼしている.

     情報社会においては1990年代にインターネットが勃興し,PCに続いてスマホが普及してきた.2010年代からは「ビッグデータ活用」「DX」が期待され,深層学習,特に生成AIが台頭してきた.近年は医療施設のランサムウエア被害も報告されるなど負の側面も目立つ.

     そのような激動の日本社会において,医療領域では2000年代には電子カルテ,2010年代にはPHRの普及が始まり,医療DXはキーワードとなり,政府主導の医療DX政策が進められてきたが,そのいずれもが必ずしも充分な成果を上げているとは言えない.

     2024年6月の第28回日本医療情報学会春季学術大会(千葉)の緊急企画「医療DX推進体制整備加算・診療録管理体制加算がもたらすインパクト」では,JAMI学会員や医療情報技師の活動の場を,従来の自施設・自企業という「点」から,地域・社会という「面」へ拡大することが提唱された.さらにこれらの人材以外にも,日本医療情報学会が関連する領域では,医療データの二次利用のための人材,医療情報規格の国際化に関する専門性を有する人材の不足が判明しており,学会が今一度人材育成に関して長期的視野を持って,行政などとも協力して戦略的に解決する必要がある.このように学会の役割も時代に応じて変化するべきであろう.

     本企画ではこれらの議論を受け継ぎ,1)地域社会における医療DX政策や情報セキュリティ実装への支援,2)健康・医療領域に蓄積するリアルワールドデータの活用支援,3)日本発の医療情報規格の知財化やビジネスモデル化を軸とした国際標準規格化推進,の三軸で人材育成・活用を進めることの重要性について議論し,JAMIの役割を再考したい.

共同企画8
  • 石田 博, 岡田 浩一, 矢野 裕一朗, 坂口 悠介, 上野 太郎, 脇 嘉代
    原稿種別: 共同企画8
    2025 年45 巻4 号 p. 193-202
    発行日: 2025/10/08
    公開日: 2026/10/08
    ジャーナル フリー

    【セッション抄録】

     近年,我が国においてもデジタルヘルスが疾患の予防,診断,治療において重要な役割を果たすことが期待されている.特に健康アプリに加えてPHR(Personal Health Record)等を基盤とした治療への患者エンゲージメントを高めるデジタル治療用アプリ(digital therapeutics)の導入による疾病のセルフマネージメント支援,さらにはAI等による個々の患者に適した学習プロセスの提供による行動変容支援の機能等を有するデジタル技術が我が国の医療システムに新たな可能性をもたらしている.そのような背景のもと,罹患率の高い慢性腎臓病(CKD)を中心とした腎疾患領域においても同様にその予防や治療,特に生活習慣などのセルフケア改善や治療へのモチベーション改善などへのデジタルヘルスの活用に期待が寄せられ,様々な研究が展開されている.本シンポジウムでは,我が国において腎疾患領域におけるデジタルヘルスの基盤となる臨床研究やメタ解析におけるエビデンス生成,および,臨床へのシステム導入の第一線で活躍されている方を招き,CKDの臨床データベースを用いた研究成果,CKD等の予防や治療を目的とした様々な健康アプリや治療アプリの効果についての文献的,および新たな臨床研究による検討,さらには,CKD,および糖尿病関連腎臓病(DKD)患者を対象とした治療アプリの導入状況と腎症進展予防への効果等について口演をいただく予定である.また,口演後にはデジタルヘルスや治療アプリ特有の課題,例えばその長期効果の検証やアプリのライフサイクルなどの包括的な議論を予定しており,これらの口演,議論を通して,現状の理解とともに従来の腎臓病領域の予防・治療領域におけるパラダイムの変革をもたらす新たな知見の創出をめざした今後の研究活動に繋がればと期待するものである.

共同企画12
  • 脇 嘉代, 大杉 満, 佐藤 直市, 高田 琢磨, 兼平 麻友香, 濱田 一喜, 前田 泰孝
    原稿種別: 共同企画12
    2025 年45 巻4 号 p. 203-210
    発行日: 2025/10/08
    公開日: 2026/10/08
    ジャーナル フリー

    【セッション抄録】

     ICT/IoTの利活用は2型糖尿病の発症や重症化の予防に有用であると期待されている.新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症COVID-19のパンデミック後,本邦でもデジタル化が加速しており,医療でもデジタル化が推進されている.マイナンバーカードの健康保険証利用や電子処方箋の導入など政策面でもデジタル化は加速し,各学会も従来の診療・治療形態に,オンライン診療やICT/IoTを用いた自己管理,PHRの利用を組み合わせた,医療におけるオンライン化の推進を積極的に議論している.また,プログラム医療機器として薬事承認を目指した開発も進められており,ニコチン依存症,高血圧症,不眠症を対象に既に承認を得て,保険適用まで進んでいるものも出てきている.ICT/IoTの利活用は2型糖尿病の発症や重症化の予防に有用であると期待されている.こうした動きのなか,糖尿病を取り巻く医療現場も大きな変革を迎えている.システム間,アプリケーション間でのデータのやり取りは以前にまして増えており,データの標準化やシステムの互換性,相互運用性をどう確保していくのかは引き続き大きな課題である.本企画セッションでは,デジタル化において医療機関が直面する課題とその解決策について,患者さんへの医療の提供のあり方や政策的な側面を踏まえて論じる予定である.

公募ワークショップ8
  • 池田 和之, 木村 映善, 山下 貴範, 高田 敦史, 吉田 直樹
    原稿種別: 公募ワークショップ8
    2025 年45 巻4 号 p. 211-220
    発行日: 2025/10/08
    公開日: 2026/10/08
    ジャーナル フリー

    【セッション抄録】

     コロナ禍を経て医療DXの進展は,さらに加速し社会に大きな変革をもたらしている.この医療DXを達成するためには各医療機関にある情報を相互に活用することが示されている.この情報連携には各施設で情報が一意に理解されるための標準化が必要になる.

     日本医療情報学会では,日本の医療情報の標準化のため,JAMI標準として処方・注射オーダ標準用法規格(JAMISDP01)ならびに処方情報HL7 FHIR記述仕様(JAMISDP02),健康診断結果報告書HL7 FHIR記述仕様(JAMISDP03),ePathのデータ要素と構造に関する仕様書(JAMISDP04)を策定している.さらに,日本HL7協会公認の診療情報提供書HL7 FHIR記述仕様(HL7J-FHIR-001)および退院時サマリーHL7 FHIR記述仕様(HL7J-FHIR-002)についてメンテナンス作業と掲載を担当している.

     医療DXの中でも電子処方箋の取り組みは,2023年に全国での展開フェーズに移行した.電子処方箋では,医療機関と薬局での処方情報の連携が必要になる.処方箋は医薬品とともに用法の情報が重要になる.電子処方箋では2023年の運用当初に処方情報を連携するための電子処方箋の用法マスタが示された.この電子処方箋の用法マスタは,処方・注射オーダ標準用法規格を基本とするものの一部に乖離や齟齬があることが指摘されている.

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