目的:救急隊による病院選定における機械学習の活用可能性を探るため,オフライン評価の方法を検討する.方法:1)隊員が選んだ照会先に対して受入予測する方法と,2)機械学習のみで選定する方法に整理して検討を行った.結果:1)では,隊員のみでは総照会回数の29.96%が受入否となる状況で,総照会回数を5.18%~19.0%削減できたが,削減率が高いモデルほど受入可否が不確定となるケースが増加した.しかし,このようなケースに対しては,想定受入確率を設定し,どの程度と見積もれば救急隊のみでのパフォーマンスを上回るかを算出する方法を示した.2)では20.55%~21.44%削減できたが,こちらでも受入可否が不確定となるケースが発生することを明らかにし,同様の対応策を示した.考察:1)では照会回数が不確定となる割合が少ないモデルから実導入していくのがよく,2)では受入可否が不確定となるケースはモデルが出力する受入確率の上位で,実際の受入率は高い可能性が示唆される.
【目的】近年電子レセプトでの請求が進められている中,一部の医療機関では返戻再請求を紙レセプトにて行われている.本研究では,高額医療費のため紙レセプトによる返戻再請求となる可能性の高い腎移植に注目し,日本臨床腎移植学会と日本移植学会の報告する腎移植患者数とNDBによる集計値とを比較することで電子レセプトの収載率を検討した.【方法】2014年4月~2020年3月のNDBの医科・DPCレセプトを使用した.腎移植患者の定義は,集計対象期間に腎移植の診療行為が1回以上付与されている患者とした.【結果】年度別腎移植患者数は2014~2019年度の各年度で321人/433人/450人/455人/469人/515人に対し,学会の報告では1,606人/1,670人/1,648人/1,742人/1,865人/2,057人であった.集計期間の単位(年度,暦年)に差があるが,学会報告に対するNDB集計値の比(電子レセプト収載率の簡易指標)は20%/26%/27%/26%/25%/25%であった.【結論】腎移植において電子レセプトでの請求は全体で25%前後と低く,請求の多くが紙レセプトによるという現状が推測された.
わが国では,2016年に閣議決定された科学技術基本計画でSociety 5.0が提唱され,サイバー空間とフィジカル空間の融合が目指されている.看護学の専門領域でも,Society 5.0に向けたICTの利活用が推進され,看護基礎教育課程におけるICT教育の拡充が求められている.
本研究は,ITを活用した看護教育方法の質を向上させるため,現在大学教育で活用されているIT技術を概観し,その看護教育への応用可能性を考察することを目的とした.文献検索には,J dreamⅢデータベースを使用し,過去5年間に発行された関連文献から25件を選定・分析した.
分析の結果,ITの活用目的は学習効果,学習促進,効率化,利便性,感染対策の5つに分類され,医療・看護教育ではITを活用した臨場感や疑似体験が学習効果を高めることが確認された.しかし,効果の検証や評価が不足している現状が示唆された.
臨床検査結果のような構造化データを用いた予測モデルでは,アンサンブル学習が最も適した機械学習の手法と考えらえる.そこでわれわれは,ルーチンの臨床検査結果のみを用いて,患者の性別と年齢を予測するためのいくつかのアンサンブルモデルの性能を評価した.その目的で,特徴量として臨床化学検査結果の17項目の変数からなる77,965例のデータセットを用意した.アンサンブルモデルは,LightGBM,XGBoost,CatBoostなどの勾配ブースティング決定木(GBDT)によって構築した.また,SHAP値法を用いて各特徴量の寄与度・重要性を分析した.LightGBM,XGBoost,CatBoostは,性別予測においてそれぞれ0.927,0.927,0.930のROC曲線下面積(AUROC)を達成し,年齢予測においてそれぞれ0.676,0.682,0.690の決定係数を達成した.ロジスティック回帰,サポートベクターマシン(SVM),線形回帰を含む他の機械学習では,性別予測のAUROCはSVMで0.907が最高で,L1正則化を用いた線形回帰では決定係数が0.410に留まった.いずれのGBDT法でもSHAP値の上位4特徴量は,性別予測ではCRE,UA,γGTP,TCであり,年齢予測ではALB,CRE,TC,そしてBUNまたはγGTPであった.これらの結果は,GBDTがルーチンの検査結果のみを用いた生理的状態や基礎疾患の予測に有望であり,診断プロセスに有用であることを示唆している.