医療情報学
Online ISSN : 2188-8469
Print ISSN : 0289-8055
ISSN-L : 0289-8055
総説
医療のIT化を担う新しい専門職「医療情報技師」
河村 徹郎橋本 則男石川 澄
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 23 巻 5 号 p. 431-440

詳細
抄録

 今日の日本の医療改革は,医療の透明性の向上,医療の質の向上・安全性の向上,医療の効率化を求めるものである.これを実現するには,医療のIT化が必要不可欠,かつ最も効果的なものと考えられる.医療のIT化は今や国策であるが,これを担う人材が不足していること,さらに各医療機関に,それを推進する組織が十分には確立されていないことなどの問題がある.このため,日本医療情報学会では,医療のIT化を担う人材の育成と医療機関への定着に向けての事業に着手し,2003年11月に979人の「医療情報技師」を世に送り出した.

 医療情報技師とは,「保健医療福祉専門職種の一員として,医療の特質をふまえ,最適な情報処理技術にもとづき,医療情報を安全かつ有効に活用・提供することができる知識・技術および資質を有するもの」と定義されている.その専門職には,従来からの医療専門職,情報技術職にない,医療倫理に基づく情報システム管理および情報処理技術能力が求められている.その資質としてCommunication,Coordination, Collaborationが要求されている.

 この資格は,現在は日本医療情報学会が単独で認定する資格である.今後さらに多くの医療情報技師を誕生させること,さらに認定された医療情報技師が,技術進展の時代の変化に応えられるだけの能力を維持するとともに,技術力向上のための生涯教育に取り組む必要がある.また長期的には,その社会的認知を確実にするために,国家資格化が求められる.

著者関連情報
© 2003 一般社団法人 日本医療情報学会
前の記事
feedback
Top