抄録
我々は,過去のレポートから医学的知識を抽出し,これを用いて入力支援情報を提示することが可能なレポーティングシステムの開発に取り組んでいる.このシステムでは,まず既存の自然文読影レポートを自然言語処理で構造化し,次に,部位・モダリティに応じて,構造化したデータの統計情報を利用して候補単語を入力支援情報として提示する.そして,ユーザーは提示された候補単語を選択することによって読影レポートを作成する.
このシステムに用いる構造化処理として,形態素解析された自然文に「Support Vector Machine(SVM)」と呼ばれるアルゴリズムを適用し,単語に属性を付与するという手法による高精度な構造化処理の実現可能性について検討を行った.
本論文では,まず過去のレポートからこの「SVM」を用いて「部位」「所見」などの「医学的知識」を抽出する技術の詳細と実験結果について述べ,次に「医学的知識」の抽出精度を高めるために「言い換え」を用いる手法の提案とその実験結果について述べる.