医療情報学
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原著
シームレスな情報共有とセキュリティを実現する病院セキュアイントラネットシステムの構築
藤本 智裕
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2006 年 26 巻 4 号 p. 235-246

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抄録

 近年,病院経営においては経営の質の向上が要求されている.このため適切な意思決定を実現するためのシームレスな情報共有システムの実現が求められ,情報共有とセキュリティを両立する新しい病院ネットワークの必要性が高まっている.多くの病院では,イントラネットネットワークと医療情報ネットワークが分離しており,シームレスな情報共有を困難にしている.そこで,これらを実現するシステムモデルを構築した.本システムモデルは,(1)医療情報ネットワークとイントラネットネットワークの間に情報共有システムを配置するシームレスなネットワーク構成と,(2)ファイアウォールの通信制御とリアルタイム監視により不正侵入を防御するセキュリティ機構,(3)重要性分類と利用形態により3つに分類した情報管理ポリシー,(4)グループウェアやファイルサーバなどのシームレスな集中型情報共有システムで構成される.本システムモデルは外部からの侵入を防御でき,患者個人情報の高度な機密性を確保できる.また,当院においてシステムを構築し運用した結果,情報共有システムの利用が飛躍的に向上した.また,外部からの脅威に対するインシデントレスポンスが可能となった.これらにより,本システムモデルが有効であることが確認でき,シームレスな情報共有とセキュリティを実現した病院イントラネットシステムが構築できた.

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© 2006 一般社団法人 日本医療情報学会
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