医療情報学
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原著
次世代救急・災害支援情報システム —救急医療 Net Hiroshima—広域対応を目途とするリアルタイム応需機能
石川 澄田中 武志津久間 秀彦岩崎 泰昌岩田 則和石黒 満久宝積 泰史益池 寿子村井 真坂上 隆士
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2008 年 28 巻 4 号 p. 187-195

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抄録

【背景】 従来の救急医療情報システムでは,救急病院における受け入れ可否の情報が最新ではなく,救急隊にとって必要な,特殊な疾患や多数患者の受け入れ先の選定に力を発揮していなかった.
【事象】 広島県は,インターネット技術の普及に伴い,1997年から稼働させた救急医療情報システムの第 3 期目の更新を行い,2007年 8 月に稼働させた.同システムは,広域災害に活用することを目途とし,日常には,救急搬送時の受け入れ先の選定に困るケースに対して過程を円滑にするとともに,その間の状況をモニタリングして事後評価できる機能を有する.
【成果】 われわれは,広島県下の16消防本部の救急隊と,148の参加登録された救急病院を携帯電話とインターネットシステムによって結び,受け入れ過程の初期評価を行った.多数の被災者が出る高速道路の事故を想定して,救急隊から複数病院への音声による自動配信演習を行って可用性を確かめた.さらに導入初期の評価では延べ95%の病院が応答したが,システム的には主に通信系の安定性と,病院側の応答上の改善すべき事項が浮き彫りになった.

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© 2008 一般社団法人 日本医療情報学会
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