医療情報学
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生活習慣の改善意思に影響を与える要因および地域性の可視化―ベイジアンネットワークを用いた自治体の特定健診データ分析―
鈴木 哲平田村 菜穂美榎本 尚司永井 亘小笠原 克彦
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2019 年 39 巻 2 号 p. 85-98

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抄録

 本研究では,地域における糖尿病患者の生活習慣の改善への効果的な支援を行うこと,またその支援の効果指標の提案を目的として,糖尿病患者の「生活習慣の改善意思」に影響を与える因子および地域性の特徴を可視化し,生活習慣の改善によって期待される行動変容の効果について検討した.北海道岩見沢市の2013年度国保レセプトデータの傷病名「2型糖尿病」を有する患者IDと郵便番号,および特定健診データ項目を用いて,地域別ベイジアンネットワークモデルを構築した.都市部のモデルでは「生活習慣の改善意思」に対して,30分以上の運動習慣とBMIが直接的な影響を与えており,地方部のモデルでは,30分以上の運動習慣と20歳からの体重変化,性別,飲酒習慣が直接的な影響を与えていることが示された.また,生活習慣の改善によって都市部と地方部共に,1年間の体重に対して最も影響を与える可能性が示唆された.今後,モデルの妥当性評価を行うことによって,地域性を考慮した健康増進施策の立案および実施への応用が期待できると考えられる.

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© 2019 一般社団法人 日本医療情報学会
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