2023 年 43 巻 3 号 p. 111-117
【セッション抄録】
近年の医療法・医薬品医療機器等法・薬剤師法の改正,令和2年度診療報酬改定,高額薬剤の上市やジェネリック・バイオシミラーの使用促進などに伴い,病院および薬局における薬剤師業務が大きく進展している.
医薬品の禁忌・適応外使用などに対する安全管理や医学・薬学的妥当性と費用対効果をふまえたフォーミュラリー管理などの新たな薬剤業務は病院管理・経営に大きな影響を与える.入退院支援・ポリファーマシー回避・外来化学療法などについては医療機関や薬局間での地域医療連携が更に求められており,医薬品医療機器等法の改正により新設される地域連携薬局・専門医療機関連携薬局にも地域での薬物治療における大きな役割が期待される.医薬品関連業務を支える薬剤疫学や医療情報学の学術研究領域の発展も重要な基盤となる.
これらの新たな薬剤師業務・地域の医療連携・学術基盤の進展には医療情報が必須である.ウィズコロナ・アフターコロナの社会環境において情報通信機器を用いた診療等が広がる中で薬剤師業務にも様々なICT活用が進むと考えられる.本シンポジウムでは病院や薬局での薬剤師業務・研究に関する最近の進展と今後の展開およびそれを支える医療情報への期待について討論したい.