2023 年 43 巻 4 号 p. 165-175
重症心身障害児者施設では新型コロナウイルス感染症の急激な拡大に伴って対面面会が制限され,オンライン面会が始まった.本研究はオンライン面会の利用実態を家族の視点から調査することを目的とした.調査対象者はA施設入所者350名の家族であった.オンライン面会の利用者の大半はスマートフォンなどのICT機器を自己保有し,自身あるいは家族などのサポートで操作することができた.オンライン面会の実施スケジュールは概ね受け入れられた.大半の家族はオンライン面会にポジティブな感想を示したが,幾人かは音声映像のみで身体接触のできないことに限界を感じた.一方,オンライン面会の非利用者は相当数がICT機器を保有していない,保有していても操作ができなかった.また,非利用の理由は入所者の障害がきわめて重度のためコミュニケーションが困難なことであった.オンライン面会を促すためには施設側のさらなる支援とオンライン面会を繰返し経験することが重要である.