抄録
沈み込むスラブの含水鉱物の脱水分解反応によって生成される水にとむフルイドには、ケイ酸塩成分が溶け込んでいる。その溶解度は圧力とともに増加し、化学組成も変化する。低圧では、シリカ成分にとんでいて、圧力の上昇とともにマグネシウムにとんでいく。外熱式ダイヤモンドアンビルセルは、60kb、1000℃まで実験可能である。高温高圧状態でマグマと水が混和する様子を観察することができる。安山岩と水の間の臨界温度は圧力とともに低下する。ある圧力で臨界温度が「水に飽和したソリダス温度」とぶつかる可能性がある。その点は第2臨界点と呼ばれ、その点よりも高圧条件では、温度の上昇にともない、水に溶け込むケイ酸塩成分が増大するのみで、明瞭な「水に飽和したソリダス温度」というものはなくなる。つまり、地球深部で流体と考えられるものはケイ酸塩成分にとんだ水なのか、マグマなのか区別できない。