日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
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G1:サブダクションファクトリー
  • 石川 正弘
    セッションID: G1-01
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    関東地震(1923年)の震源断層は千葉県房総半島から神奈川県西部にいたるフィリピン海プレートと本州側プレートの境界断層であると考えられている。今回,震源データによる震源分布から,伊豆衝突帯の地震発生帯の形状を検討し、伊豆衝突帯におけるフィリピン海スラブの岩石学的構造モデルを提案する。 1999/01/01から2001/12/31の3年間の気象庁一元化震源データから3次元震源分布図を作成し,あらゆる方向から伊豆衝突帯における地震発生面の形状を検討した結果,地震発生面の深度分布は丹沢山地の中部付近を境に東側と西側で異なっており、丹沢山地直下では西部の方が数_から_5kmほど深いことが明らかになった。これを伊豆弧地殻構造や丹沢変成岩類のテクトニクスと関連して解釈すると,山梨県東部まで緩傾斜で沈み込んでいる伊豆弧下部地殻(フィリピン海スラブの最上部層)が南北方向に断裂しており,西側のスラブが東側のスラブより深く位置していることになる。 フィリピン海スラブのスラブ断裂の位置はちょうど推定された関東地震(1923年)の震源断層の西端であり,関東地震の震源断層の形状を規制している。また,このスラブ断裂構造の真上の丹沢山地中央部の河内川沿いには南北方向の大規模リニアメントが、また、その延長上に伊豆半島を南北方向に走る丹那断層が位置しており,このスラブ断裂構造に関係して形成したのではないかと推定される。 今回伊豆衝突帯におけるのプレート境界形態の複雑さが明らかになったが,今後の地震防災などで役立つことを期待する。
  • 有馬 眞, 増田 純一
    セッションID: G1-02
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    マリアナトラフは,フィリピン海プレートと太平洋プレートの収束帯に形成されたマリアナ弧が分裂・拡大し形成された背弧海盆である.マリアナトラフの北緯20度付近に位置するCentral Grabenは,アマグマティック拡大軸に位置し,ここでは水深5500mに達するグラーベンが発達し下部地殻や上部マントルの岩石が地表に露出している (Yamazaki et al.,1993;Stern et al.,1996). 2002年1月に行われたJAMSTEC深海調査研究船「かいれい」による調査航海「KR02-01」で行われた、Central Graben South (20゜04´ N,144゜04´ E,水深4868∼4309m)ドレッジにより,カンラン岩類、角閃石はんれい岩類、ト−ナル岩類、および面構造の発達した角閃岩が採取された.珪長質深成岩は,その鉱物学的・地球科学的特徴から,玄武岩海洋地殻の部分融解によって生じた安山岩質メルトの結晶分化作用及び集積作用により形成されたと考えられた(増田・有馬, 2003[3]). 安山岩質メルトを生成した背弧海盆玄武岩地殻の部分融解は比較的低圧(>0.2 GPa)で起こったと推定される.本研究では,Central Graben角閃岩を出発物質とした0.3-0.7 GPa,900∼1200℃の条件下での融解実験を行ない,安山岩質メルトの形成過程について考察した.  Central Graben Southから採取された角閃岩を1500℃で加熱ガラス化し、蒸留水3%を加え出発物質とした.出発物質を2mmφPtカプセル中に入れ,1/2inchタルク−ガラスセルに組み込み,ピストンシリンダー型高圧装置を用い実験をおこなった. SEM-EDSにより実験生成物中の相同定と化学組成の分析を行なった.実験生成物のSEMデジタル画像のモード測定を行い鉱物相およびメルトの量比を求めた. 温度上昇によりメルトの量比は増大し,1200℃では完全に溶融した.斜長石・角閃石・単斜輝石・斜方輝石・磁鉄鉱・チタン鉄鉱がメルトと平衡に共存した.斜長石はいずれの温度・圧力条件下でも最も多量に晶出し,鉱物相の50%以上を占めた.角閃石は低温領域で主要なマフィック鉱物として晶出した.輝石類は高温領域に晶出し,単斜輝石は1000℃,1100℃の実験において,斜方輝石は1100℃の実験時にのみ晶出が確認された.実験で生成したメルト組成は,マリアナトラフ深成岩類と同様にカルクアルカリ系列に属し,比較的低圧下(0.3GPa)の実験でマリアナトラフ深成岩類と類似した組成を持つメルトが生成した。0.15 GPa,1000℃のPムT条件に外挿し推定されるメルト組成は,マリアナトラフ深成岩類の安山岩質本源マグマ組成と類似している.  以上の実験結果から,マリアナトラフ深成岩類の生成過程を考察した.マリアナトラフのような低拡大速度海嶺下に位置するマグマだまりは,定常的に存在するのではなく,マントルからのメルト供給イベント時にのみ海洋地殻中に形成される.マントルからのメルト供給が充分行われない時期には,断層運動による海洋地殻拡大が卓越する.この時期には,断層に沿い海水が海洋地殻下部まで供給され,玄武岩は変成作用により角閃岩化する.その後,メルトの供給が再開され温度が上昇すると,マグマだまり周辺の角閃岩のアナテキシスにより安山岩質メルトが生成される.部分融解時の圧力は最大で0.15 GPa,温度は1000℃程度だったと推測される.安山岩質メルトの地殻深部における結晶分化作用によりトーナル岩類,それに伴う沈積作用により斑レイ岩類が生成された.これら深成岩類は,その後の断層運動により現在の海底面に露出したと考えられる.
  • 西本 壮志, 石川 正弘, 有馬 眞, 吉田 武義
    セッションID: G1-03
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    P-wave velocity (Vp) and S-wave velocity (Vs) of Ichino-megata mafic xenoliths, northeast (NE) Japan, were measured simultaneously under the subsolidus conditions. We obtain non-linea r velocity-temperature correlation for all rock studied. Significant Vp and Vs decreases at higher temperatures are probably attributed to thermal cracking and/or phase transition of plagioclas e and/or amphibole.
  • 川本 竜彦, 松影 香子, 三部 賢治, 小野 重明, 神崎 正美
    セッションID: G1-04
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    沈み込むスラブの含水鉱物の脱水分解反応によって生成される水にとむフルイドには、ケイ酸塩成分が溶け込んでいる。その溶解度は圧力とともに増加し、化学組成も変化する。低圧では、シリカ成分にとんでいて、圧力の上昇とともにマグネシウムにとんでいく。外熱式ダイヤモンドアンビルセルは、60kb、1000℃まで実験可能である。高温高圧状態でマグマと水が混和する様子を観察することができる。安山岩と水の間の臨界温度は圧力とともに低下する。ある圧力で臨界温度が「水に飽和したソリダス温度」とぶつかる可能性がある。その点は第2臨界点と呼ばれ、その点よりも高圧条件では、温度の上昇にともない、水に溶け込むケイ酸塩成分が増大するのみで、明瞭な「水に飽和したソリダス温度」というものはなくなる。つまり、地球深部で流体と考えられるものはケイ酸塩成分にとんだ水なのか、マグマなのか区別できない。
  • 神崎 正美, 三部 賢治, 川本 竜彦, 松影 香子, Fei Yingwei, 小野 重明
    セッションID: G1-05
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    地球内部の高温高圧条件下では,マグマ中への水の溶解度は増加し,それと同時にフルイド中へのケイ酸塩成分の溶解度も急増し,両者の性質は似てくることが知られている.このことからある温度圧力条件(第2臨界点)以上においては,含水マグマとフルイドの区別がなくなり,完全に混和した1相になることが予想されている.しかしながら,これまでの実験手法では様々な問題のために,地球科学的に重要なペリドタイト-H2O系の第2臨界点の温度圧力条件は不明であった.最近我々は,放射光を用いたX線ラジオグラフィ法と,単結晶ダイヤモンドカプセルを使った川井型高圧発生装置とを組み合わせた新たな実験手法により,ペリドタイト-H2O系の第2臨界点の決定に成功した.今回我々が開発した手法は,放射光を用いた含水系での高圧実験や,コアを含めたあらゆる地球内部物質の混和・不混和現象の解明等,様々な実験に応用可能である.
  • 大谷 栄治, 工藤 貴英, 羽江 良太
    セッションID: G1-06
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    Hydrogen diffusivity in synthesized polycrystalline wadsleyite and ringwoodite, the major constituent minerals in the mantle transition zone, was measured by Fourier Transform Infra-Red (FTIR) Spectroscopy. Hydrogen diffusion rate in wadsleyite is roughly comparable to the average diffusion rate of hydrogen in olivine. The hydrogen diffusivity in ringwoodite is also measured and found that it is comparable to that of wadsleyite. Water transported to the transition zone by hydrous phases is dehydrated at the top of the lower mantle. The dehydrated water moves upwards and is reacted and absorved by the overlying ringwoodite phase in the slab of the transition zone depth. Superhydrous phase B can be formed as the reaction product. This mechanism is effective to concentrate water in the slab at the transition zone depths; even if the amount of water transported by the slab (with the subducting speed of 10 cm /year) is very small around 0.05 wt.%, absorption of the dehydrated water by overlying ringwoodite crystals can build the hydrous zone containing 1 wt.% water with a thickness of 250 km in the slab at the transition zone depths by continuous subduction during 50 Ma. The transition zone surrounding the slab may also be hydrated but the region may be limited to less than 1 km in width due to a relatively slow diffusion of hydrogen in wadsleyite and ringwoodite.
  • 谷内 勇介
    セッションID: G1-07
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    An internally-consistent thermodynamic data set for phase A, clinohumite, and chondrodite has been derived by mathematical programming analysis of phase equilibrium and thermophysical data. The derived thermodynamic data are in excellent agreement with measured volumes and most experimental phase equilibrium data. Calculated phase diagram suggests that, at pressures higher than ca. 8 GPa, clinohumite and/or chondrodite are stable in the average mantle composition. This suggests that, at the conditions, these phases may play an important role for hydration of mantle wedge peridotite.
  • 玄馬 脩一郎, 中村 美千彦
    セッションID: G1P-01
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    近年スラブ内・マントルウェッジ中における地震の発生機構として脱水不安定が有力視され、蛇紋岩の脱水反応が注目されている。蛇紋岩は一括して扱われることが多いが、実際の全岩化学組成・蛇紋石固溶体組成は幅広く、大規模地震では断層が広い化学組成を持つ領域にわたり形成されうるし、逆に蛇紋石の安定領域が断層面の伝播範囲を規定しうるかもしれない。こうした視点から地震の発生機構の詳細を検討するには,これまでの相平衡データも十分でなく、鉱物学的視点から明らかにすべき素過程は数多い。本研究では各2種類の組成を持つ天然・合成試料を用いた実験によりまず蛇紋石の安定領域が化学組成(Fe‐Mg組成比)によってどう変化するかを詳細に決定することを目的としている。ゲルを用いた実験では平衡に達するのが速く、蛇紋石を経ずに分解後の鉱物組合せを合成できるが、天然の蛇紋岩試料を用いた実験は分解生成物の組織を考察する上で重要である。
  • 西本 壮志, 石川 正弘, 有馬 眞, 吉田 武義
    セッションID: G1P-02
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    In this study, we compare the P-wave velocity (Vp) and S-wave velocity (Vs) crustal model of the NE Honshu arc by Nakajima (unpublished) with the laboratory measurements of Vp and Vs values by Nishimoto et al. (this meeting), and interprete petrological/ seismic crustal structure. The Vp and Vs of lower crustal layer beneath the back-arc side are comparable to the measured Vp and Vs values of Ichino-megata mafic xenoliths (hb. (px.) gabbro and/or amphibolite) at solidus conditions (600-700 deg.C).
G2: マグマの発生・上昇・定置
  • 小畑 正明
    セッションID: G2-01
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    部分溶融マントルにおいて、パーコレーション閾値がどこにあるかということは、初生マグマの組成を考える上で重要な問題である。マグマ発生のモデルとして、分別融解モデルとバッチ融解モデルが両端成分モデルとして重要である。これまで閾値は限りなく低いという見解と有意に高いという見解が対立してきた。いずれにしてもこれまでの閾値のコンセプトでは、ある値を越えると、それを超えた分だけのメルトが流出するという、いわば静的なものであった。これだとバッチ融解は発生しない。Obata and Takazawa (2004)はメルトと結晶固体の境界の界面エネルギーを考慮した組織平衡の問題と重力場における固体、液体の密度差から発生するメルト圧と固体圧の差を考えあわせて、上昇による圧力低下で部分融解が進行しつつあるマントルでパーコレーション閾値がダイナミックに変化し、その結果バッチ融解が実現する可能性を指摘した。 文献:Obata, M. and Takazawa, E. (2004)
  • Tuff James, 高橋 栄一
    セッションID: G2-02
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    ホットスポット活動の初期には短時間に大量のマグマが噴出して洪水玄武岩や巨大な海台を形成する。ケンブリッジ大学のS.Gibsonは白亜紀以降の洪水玄武岩の地質調査から、最初期に特徴的なFeO成分に特に濃集したフェロピクライトマグマが活動することを示した。我々は新鮮なフェロピクライトを出発物質に用いて7GPaまでの高圧融解実験を行い、1)リキダス相の組み合わせ、2)融解温度幅、3)融け残り鉱物の組成などからフェロピクライトが5GPa付近の圧力でgarnet-pyroxeniteが部分融解してできたマグマであることをしめした。実験結果とフェロピクライトの産出状況から洪水玄武岩の基となるマントルプルームに大量のリサイクル物質(沈み込んだかつての海洋地殻)が含まれていること、および、カンラン岩とエクロジャイトの融点の差からフェロピクライトの産出がプルームの最初期に限られる理由を説明する。
  • 平野 直人, 山本 順司, 高橋 栄一, 阿部 なつ江, 石井 輝秋
    セッションID: G2-03
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    Anomalously young volcanoes, of approximately 6, 4 and 1 Ma in age, for the 130-135 Ma Pacific Plate were discovered form the toe of the oceanward slope of the northern Japan Trench [1] and the abyssal plain on the Northwestern Pacific Basin. The new bathymetric, geological and petrological data indicate two types of eruptive style, different in the degree of vesicularity and major element composition; one is very vesicular lava forming knolls, another is dense lava forming sheet flows. The distributions of these volcanoes clearly have the trend of WNW to ESE, which are perpendicular to the hinge line of the flexural lithosphere (outer-rise) due to plate-subduction. The lavas are trapped some xenoliths of basalts, gabbros and peridotites, which are likely oceanic crust and lithospheric mantle in origin. Two types of olivine are also present in these lavas, xenocrysts with reaction rims and magmatic. The forsterite (Fo) (#91-92) values and NiO contents (0.3-0.5 wt%) of the xenocrysts are similar in composition to those of the depleted mantle peridotite. Chromian spinel inclusions in the xenocrysts also show the depleted composition in the range of abyssal peridotite. These data indicate that the xenocrysts originate from MORB-depleted mantle [2]. The calculated primitive magma, on the other hand, follows a low degree of partial melting along the 2.5 to 3 GPa cotectic lines, which would corresponds the depth of asthenosphere. The ascending magma from asthenosphere, therefore, would trap some xenoliths and xenocrysts originating in the conduit wall, possibly when brittle fractures occurs in the upper lithosphere due to the concave flexure of the plate in front of the convex bowing of outer-rise. The eruption occurred along some fissures being bent before subduction, in parallel to the maximum horizontal compression due to the down-warping of the Pacific plate motion for sub-crustal magma injection.
  • 隅田 祥光
    セッションID: G2-04
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    The upper Paleozoic Yakuno ophiolite in the Asago body, southwest Japan exposes a 3.0 km-thick middle to lower crustal section of intra-oceanic island arc, which is composed of metabasites (metagabbro and schistose amphibolite) of MORB-like affinity and granitoid intrusives of island arc affinity (Hayasaka, 1990; Suda, 2004). Mafic migmatite develops in the lower crustal section, whereas the granitoid intrusives forming plutons and dykes develop in the middle crustal section. Mmorphological change of the migmatite with increasing structural level suggests the melt segregation process. Small-scale primary melt formed at the lowermost horizon (metatexite migmatite), which moved upward, accompanied by increasing degree of melt segregation (melt-enriched migmatite), and finally led to the formation of plutons.
  • 佐藤 博明, Holtz Francois, Botcharnikov Roman, Behrens Harald, 中田 節也, 佐藤 鋭 ...
    セッションID: G2-05
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    雲仙岳1991年デイサイトについて,マグマ混合の端成分の組成見積から,その混合過程を検討した.マグマ混合は,マグマ溜り内と火道中で生じることが考えられるが,まずマグマ溜り内での2種のマグマの密度は無斑晶質高温端成分マグマ(1050℃,SiO2=62wt%, H2O=4wt%)は2480kg/m3,斑状低温端成分マグマ(780℃,SiO2=67wt%, H2O=8wt%)は2420kg/m3であり,密度差が小さいことから,比較的容易にマグマ混合が生じうる.ただ斑晶斜長石・角閃石のリムの逆累帯構造の発達は悪くマグマ混合後短時間で溶岩が噴出したことを考えると火道内でのマグマ混合も重要と思われる.火道内では,火道壁の不規則な形状,火道径の変化,斑晶の回転・移流,マグマの発泡・結晶化による密度・粘性の不均質等,による様々なスケールの渦によりマグマ混合が促進された可能性が考えられる.
  • 本間 潮, 張 海祥, 牛 賀才, 単 強, 永尾 隆志, 佐藤 博明
    セッションID: G2-06
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    背弧拡大時に伴って噴出した未分化玄武岩マグマの化学組成を求めることは,背弧拡大時からその後のマントル内部における熱的進化に対してモデル化を行うのに有益である.本論では,South China basinの北側に位置する海南島玄武岩について岩石記載を行い,比較的未分化な玄武岩の特徴を有する試料を用いて,マントルと平衡である未分化マグマの全岩化学組成とカンラン石の鉱物組成を求め,それを基にして平衡温度を推定した.鉱物の化学組成を検討した結果,マントルポテンシャル温度は約1380℃∼1530℃と推定される.以上の結果は,背弧拡大時あるいはその後の海南島直下のマントル内部の温度はMORBのポテンシャル温度(Niu et al., 2001;1350℃)より高いばかりでなく背弧拡大に伴う玄武岩の生成温度が高温であることを示唆する.
  • 佐伯 和人
    セッションID: G2P-03
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    火山爆発における気泡の役割の解明のために,珪酸塩マグマの発泡現象および泡の連結過程をその場観察できる特殊な加熱ステージ及び観察システムを開発し,その場観察実験を開始した.本稿では気泡成長その場観察,及び気泡平衡形観察による珪酸塩メルト物性測定の新しい方法を提案する.
  • 吉田 武義, 中島 淳一, 長谷川 昭, 佐藤 比呂志, 長橋 良隆, 木村 純一, 田中 明子, Prima Oky Dicky Ardi ...
    セッションID: G2P-04
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    近年の地震波トモグラフィの発展によって,東北本州弧のマントル-地殻構造を,詳しく可視化することができるようになった.地質学と岩石学をあわせ考えると,地震波イメージはマントル-地殻の温度構造を明らかにするための有効な道具となる.地質学と岩石学に基づいて推定される現在のマントルウェッジの温度構造は,マントルウェッジの地震波速度構造と良く対応している.後期中新世?鮮新世カルデラの地下で起こったであろうマグマの貫入は地殻内に大規模なマグマ溜まりを形成し,地殻内温度構造に影響を与えたと考えられる.この温度構造擾乱の名残は現在も地震学的に検出できる.東北本州弧のマントル-地殻温度構造は火成島弧の発展と関連して発達してきたものと考えられる.
  • 佐野 栄, 木村 純一
    セッションID: G2P-05
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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  • 吉田 武義, 相澤 幸治, Acocella Valerio
    セッションID: G2P-06
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    The mechanism of development of shallow magma chambers and their relationships with caldera collapse are poorly known. Here we review the studies of pluton emplacement and caldera collapse, proposing a model linking the two processes. Magma ascending through diapirs or dikes is mostly halted at middle crustal levels. In the upper crust, the further rise of magma occurs by diking and the emplacement occurs along major anisotropies. Many plutons are emplaced at subhorizontal discontinuities, consisting of tabular, sill-like intrusions. Their growth will eventually induce doming of the overburden, forming laccoliths. Various evidence for shallow felsic and mafic laccoliths have been provided, suggesting that laccoliths are the most common mechanism to store magma in the upper crust, especially when the magmatic rates exceed the tectonic ones.
G3:元素の移動と地質資源
  • 三浦 保範
    セッションID: G3-01
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    本研究成果は次のようにまとめられる。 1)長時間で形成されたFeNi鉱物が、高温化で分離して、Niに富む物質が形成されていることが、天然の仁保隕石シャワー球粒、地質境界PTB中の球粒、衝突破砕岩と隕鉄の人工衝突破壊実験で確認された。2) 格子状組織の球粒の形成には、Fe-Ni.Al-Si-Cなどが 混在しているのが特徴である。 3)FeNi鉱物が高温化で分離してNiに富む物質ができるので、サドベリーNi資源が生じたと考えられる。
  • Dalal Ahmed Al-Shamroukh, Makoto Arima, Amr Al-Sammak
    セッションID: G3P-07
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    Sulaibikhat bay is a subsystem of Kuwait bay where intertidal mudflats are extended. It receives variety of discharges from land use activities. Significant changes in the sediment characteristics of the northern territorial waters of Kuwait exist; the construction of the Third River and the effect of draining of the Iraqi marshes. the scope of this study is to evaluate the effects of the previous incidents and investigate the secular variation of the heavy metals in the intertidal sediments of Sulibikhat bay. Geochemical characteristics of these sediments provide us last 50 years environmental change in northern parts of Kuwait. Eight cores were collected from intertidal zone sediments and geochemical analyses were carried out. XRF and ICP-MASS were used to measure the major and the trace elements of the sediments. Initially the longest core was analyzed by XRF and XRD, and the data with depth shows clear secular chemical variation.
  • 八木 正彦, 洲崎 照夫
    セッションID: G3P-08
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    東北日本弧シンリフト期玄武岩の油ガス貯留岩ポテンシャル向上の要因について由利原油ガス田の玄武岩を例に考察した。その結果,主な要因として,1)背弧海盆における発泡性に富む海洋底玄武岩の噴出,2)沸石帯からプレーナイト帯に変成度が上昇する際の鉱物変化に伴う孔隙性の向上,3)同時に粘土鉱物変化(シュリンク)に伴う岩石全体の体積収縮とその結果としての微細フラクチャ形成が考えられる。
  • 佐藤 理恵子, 有馬 眞, 金子 慶之, 小野 紘斗, 岩垣 拓也
    セッションID: G3P-09
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    酸性降下物による地表水と土壌の酸性化は、森林成長の衰退、植物病害の増加、土壌からの有毒成分の溶脱など、生態系に重大な影響を及ぼす。土壌と基盤岩石の酸緩衝能により降水は中和され、土壌中の元素は溶脱され河川中へと流出する。本研究では、酸性雨による森林生態環境の衰退が危惧されている丹沢山地に分布する花崗岩母材(褐色森林土壌)とローム母材土壌の酸緩衝能を評価した。神奈川県西部、西丹沢山地、中川川上流域(約27km2)72地点において、2003年4月から2004年8月にかけての土壌調査および採取を行い、花崗岩母材(58地点)とローム母材土壌(14地点)の土壌プロファイル、層厚、含水率、土壌化学成分、土壌水溶液成分の分析を行った。土壌試料は、垂直方向にA0層からC層(花崗岩基盤岩)まで(最大約300cm)採取した。採取した土壌試料は、肉眼観察により土壌プロファイルを記載し、さらに105℃乾燥重量法による含水率測定、XRFによる化学組成測定、NCアナライザーによる全炭素・全窒素測定、XRDによる構成鉱物の評価を行った。また、風乾土壌:水を1:5の割合で土壌水溶液のpHと溶存成分を測定した。  土壌溶液pHは、花崗岩母材土壌A層で平均5.96、ローム母材土壌A層で平均5.04とややローム母材土壌のほうが低い値を示した。しかしローム母材土壌B層(ローム層)ではpHは5.61から7.39と大きく変動し、平均値は6.57 で、花崗岩母材土壌B層の平均値6.18よりも高かった。これはローム土が高い酸緩衝能をもつことを示している。花崗岩母材土壌は、Ao層からC層まで、幅広い組成変化をしめす。下位から上位へSiO2, Al2O3, CaO, K2O, Na2Oは減少し、一方、TiO2, P205, 全炭素、全窒素は増大する。溶脱しにくいと考えられるTiO2で規格化し、各元素の挙動を比較した。花崗岩母材土壌からのSiO2, Al2O3, CaO, K2O, Na2Oの溶脱が認められた。花崗岩母材土壌試料の最下層C層(基盤岩組成)からの平均溶脱量(wt.%)は、SiO2(25 wt.%)、Al2O3(5 wt.%)、Fe2O3(0.8 wt.%)、MgO(0.4 wt.%)、CaO(1.6 wt.%)、Na2O(1.2 wt.%)、K2O(0.3 wt.%)だった。花崗岩母材土壌の溶脱率と標高・傾斜・斜面との間には相関が認められなかった。ローム母材土壌の各成分は、上位Ao層から下位までほぼ同程度の存在量を示し、花崗岩母材土壌にみられた溶脱による大きな組成変化は認められなかった。花崗岩母材土壌は高いAl溶脱率を示した。AlはpHが約4.5以下のときに溶脱することが知られている。丹沢花崗岩母材土壌の土壌溶液pHの最低値は5.48であるが、土壌化学組成プロファイルは土壌からのAl溶脱がすでに開始していることを示唆している。  花崗岩母材土壌およびローム母材土壌のP2O5, K2O, 全炭素・全窒素含有量は、上位AoおよびA層で高い値を示し、下位にむかって急激に低下する。全炭素濃度と全窒素濃度の間には正の相関が見られた。全炭素・全窒素量と標高および傾斜には負の相関が見られた。全炭素・全窒素量と標高・傾斜との負の相関は、標高が高く急な斜面ほどこれらの有機成分は蓄積されにくいことを示している。
  • 志田 めぐみ, 安達 佳奈, 有馬 眞
    セッションID: G3P-10
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    丹沢山地は、神奈川県北西部に位置し、都心から約50kmの距離にも関わらず、豊かな自然が残された山地である。近年、酸性雨などに起因する酸性沈着による森林生態系への影響が危惧され、表層水の酸性化は主要な環境問題である。本研究は、2001年∼2005年の期間に丹沢山地河川水の溶存成分濃度のモニタリングを行った。毎月1回、4地点の河川水と湧水の採取・分析を行った。現地にて、気温、水温、pH、電気伝導率、溶存酸素を測定した。河川水を0.45μmフィルターでろ過・採水し、フレーム原子吸光法でNa+, K+、ICP発光分光分析法でMg2+, Ca2+, Al3+, SiO2, PO43-、イオンクロマトグラフ法でCl-, NO2-, NO3-, SO42- 、0.1M硫酸滴定法でHCO3-について溶存成分の評価を行った。2001年5月_から_2002年5月の水試料について、表面電離型質量分析装置を用いてSr同位対比を測定した。
  • 柚原 雅樹, 祐徳 信武
    セッションID: G3P-11
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    福岡県西部,那珂川上流の五ヶ山地域残っている金探鉱跡(大野探鉱跡と小川内探鉱跡)周辺に露出する早良花崗岩の細粒岩相における,熱水変質作用による鉱物組成と化学組成の変化の解析を行った。その結果,探鉱跡周辺の花崗閃緑岩の変質は,緑泥石,イライトおよび黄鉄鉱の出現によって特徴づけられることが明らかになった。さらに,熱水変質作用による化学組成の変化は,全Fe,MgO,CaOおよびSrの減少とSの増加で特徴づけられる。
  • 千葉 悦子, 榊原 正幸, 佐野 栄, 堀 利栄
    セッションID: G3P-12
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    本研究では,愛媛県西条市,市之川中流域に分布する市之川礫岩を対象として,環境岩石学的検討を行い,熱水変質作用および地表付近の環境における主要・微量元素の移動・再濃集プロセスについて考察した.市之川礫岩の礫はすべて熱水変質作用を受けていることから,礫岩形成後に熱水変質作用を被り,熱水沈殿物としてドロマイトを主とする基質が沈殿したと考えられる.その際,As,Sb,Sなどが添加,SiO2,Fe2O3,MgOなどが溶脱した.黄鉄鉱が多く形成されていることからAs,SbおよびSは黄鉄鉱として岩石中に固定されたと考えられる.その後,表層風化の過程で,黄鉄鉱が分解・溶脱し,S,Fe2O3,AsおよびSbが岩石中から溶脱したと考えられるが,風化部でFe2O3,AsおよびSbが増加している.これらの元素は風化部で褐鉄鉱中に含有されていると推定される.また,黄鉄鉱の分解とともにドロマイトが溶脱し,CaOおよびMgOが減少したと考えられる.
G4:深成岩及び変成岩
  • 小笠原 正継, 下田 玄, 森下 祐一
    セッションID: G4-01
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    男鹿半島西北部,入道崎の南には古第三紀火山岩類の基盤として花崗岩(角閃石―黒雲母アダメロ岩)の小規模な露出がある.今回新たに花崗岩の貫入・固結年代を求めるため,二次イオン質量分析計(イオンプローブ)を用いてジルコンのU-Pb年代を3試料について測定した.最も新鮮な花崗岩(01OG03)からのジルコン年代93.3± 1.9 Ma を男鹿半島基盤花崗岩の年代と解釈する.
  • 木村 卓哉, 金 容義
    セッションID: G4-02
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    南部フォッサマグナに位置する佐野川地域には、佐野川に沿った幅2km、長さ20kmの南北の範囲内に、十島、柿本、また十島∼上佐野に、小岩体が分かれて分布する。佐野川岩体は主にはんれい岩∼閃緑岩からなる。十島∼上佐野の小岩体では、はんれい岩体は安山岩、玄武岩の岩脈によって貫入されている。本研究において、はんれい岩相は佐野川上流の安山岩・玄武岩岩脈中にゼノリス状に分布している。従来、佐野川の主岩相ははんれい岩∼閃緑岩とされてきたが、それらは安山岩-玄武岩岩脈中のゼノリスであり、岩体は微閃緑岩・花崗閃緑はん岩・閃緑ひん岩が主である。ハンレイ岩と微閃緑岩をKr-Ar年代測定法により分析した結果、はんれい岩:4.3±0.5Ma、微閃緑岩:18.0±4.4であった。また岩体に伴う玄武岩岩脈中のクロム透輝石について、測定した結果Crはそれほど多くなく、佐野川のクロム透輝石はいずれもCrの含有量では0.1∼0.4であった。
  • 藤本 俊二, 金 容義
    セッションID: G4-03
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
     丹沢山地は南部フォッサマグナ地域および伊豆―小笠原弧最北端部に位置し、島弧地殻の形成を解明するのに重要な地域である。丹沢のトーナル岩のモードは石英が49%前後であり、斜長石が51%前後で、カリ長石は0%であった。 川手(1997)や高橋(2004)は全岩化学分析を行っており、今回は対比も行った。  今回の調査に於いて、深成岩体の北部に於いて露頭単位で面構造を確認することができた。走向はN40∼70°Wを示す。傾斜は緩やかなところで、30°SW前後を示し、急なところで60°SW前後を示した。また、鏡下に於いても、斜長石や角閃石、石英などが段重ね上に浮き出て見えるようなものもあり、構造を有していることが確認された。さらに犬越路隧道の北側で石英斑岩と思われる岩脈も確認した。今回はこれらの結果について紹介する。
  • 西山 忠男, 戸田 錬太郎, 真島 英壽, 森 康
    セッションID: G4-04
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    福岡県志賀島花崗閃緑岩体中に発達する塩基性岩脈には特徴的な縞状構造が発達する。この縞状構造はcomb layerとschlieren layerの繰り返しから構成され,全体的にはcomb layerが優勢である。岩脈の周縁部から中心部に向かって8枚のlayerが識別され,モード,鉱物および全岩化学組成を検討した。いずれのlayerも鉱物組成は同じで,主としてホルンブレンドと斜長石からなる。鉱物の化学組成もlayerを通じてほぼ一定である。全岩化学組成の検討から,優白質のcomb layerは優黒質のschliren layerに比べAl2O3とCaOに富みMgO,Fe2O3,MnOに乏しい。その成因を検討した。
  • 松藤 行信, 荒井 章司
    セッションID: G4-05
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
    幌満岩体は北海道日高変成帯の南縁部に貫入しているかんらん岩体で、多様なかんらん岩類より構成されており(Igi, 1953 ; Niida, 1974 ; Takahashi, 1991等)、地殻下部へ上昇してきたマントルダイアピルの断片であると考えられている(Ozawa & Takahashi, 1995 ; Ozawa, 2004)。岩体を構成するかんらん岩類のなかでBDHと呼ばれる岩石は、母岩の層状構造とは不連続にブロック状に産し、化学組成も母岩とは異なることから、岩体がダイアピルとして地殻下部へ上昇する過程で取り込んだ異質岩塊であると言われている(Takahashi, 1991)。この異質岩塊の起源の解明は、マントル内の不均質性の要因の解明につながり、幌満岩体の履歴を解明する上でも重要である。本研究では、BDHの岩石記載と主要元素組成の特徴から、その起源を考察する。
  • 巻田 光央, 森下 知晃
    セッションID: G4-06
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    超苦鉄質岩の一種である斜方輝岩は造山帯かんらん岩中にしばしば産し,SiO2に乏しい通常のマントルかんらん岩と比べてシリカ成分に富む.このような斜方輝岩を形成する一つの可能性として,かんらん岩へのSiO2の付加が考えられる.北海道,日高変成帯南西端に位置する幌満かんらん岩体には斜方輝岩が少量存在する.本地域の斜方輝岩はかんらん岩と,斜長石・単斜輝石を主とする塩基性岩に密接に伴って産する.この関係は,Yaxley and Green (1998)の実験で見られた関係とよく似ている.これらのことから,幌満かんらん岩中の斜方輝岩が,マントル内における塩基性岩の部分融解メルトとかんらん岩との反応によって形成された可能性が考えられる.そこで,本研究では幌満かんらん岩中の斜方輝岩の産状・鉱物組織・化学組成を報告し,斜方輝岩の成因と,不均質マントル融解の可能性を議論する.
  • 小畑 正明
    セッションID: G4-07
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
    マントル起源の造山帯かんらん岩にはさまざまの厚さの層の塩基性岩石が含まれ、これらはマフィックレイヤーと一括して呼ばれてきた。鉱物学的には、その形成の温度圧力条件を反映してエクロジャイト、ガーネットパイロキシナイト、スピネルパイロキシナイト、輝石グラニュライトあるいはかんらん石ガブロと多様である。従来これらの岩石は高温高圧下で玄武岩質のメルトからの分別結晶作用で生じたという見解が支配的であった。近年これら一群の岩石の中には、Eu異常やコランダムの存在から、低圧で生じたガブロが高圧で変成されて生じたものがあることがわかってきた。筆者は全岩化学組成を下にガブロ起源の岩石を同定する新しい方法を提案する。このクライテリアを用いると、ガブロ起源のマフィックレイヤーはこれまで考えられていたよりもより広範にマントルかんらん岩に存在しているらしい。
  • 水上 知行, 鍵 裕之, Simon Wallis
    セッションID: G4-08
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
     化学結合の振動エネルギーに起因するラマンスペクトルは、原子間距離の微小な変化を連続的に抽出できるため、圧力スケールとして注目される。Sobolevら のダイアモンド中のコース石包有物の報告は、ラマンスペクトルによる圧力見積もりの地質学的有効性を示した。この方法は様々な鉱物に適用できると考えられるが、応用例はそれほど多くない。今回は、四国東赤石カンラン岩体のカンラン石に含まれる含水鉱物包有物(数10μm径)の顕微ラマン分析を行い、残留圧力の有無を調べた。  クリソタイルのピーク位置について内部の包有物が表面に比べて高い波数を示し、最大で1.5cm-1の波数差が見られた。この値を圧力差に換算すると0.6GPaとなる。分析上のシフト要因も検討しなければならないが、この結果は蛇紋石形成がある程度高圧条件であった制約となる。推定圧力は東赤石岩体のピーク圧力条件(3GPa以上)に比べて小さいが、カンラン石の強度が数GPaの圧力を保持できない可能性も考えられる。
  • 亀井 陽, 小畑 正明
    セッションID: G4-09
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
    造山帯に産するざくろ石かんらん岩中ののざくろ石結晶は多かれ少なかれケリファイト化していることが一般である。ケリファイトは極細粒で放射状の構造を持った鉱物集合体であり、その形成条件を反映して、その構成鉱物は斜方輝石、単斜輝石、スピネル、角閃石、クロライト等と多様である。筆者らはチェコ共和国のMoldanubian帯に産するざくろ石かんらん岩の研究過程でざくろ石のケリファイト化において有為の量のNaが明瞭に外界から供給された事例を見つけたのでこれを報告する。
  • 辻森 樹, Liou J.G., 板谷 徹丸
    セッションID: G4-10
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
    Chromian diopside with high K content up to 0.56 wt% was discovered from the Osayama serpentinite melange, SW Japan (Tsujimori and Liou, 2005). K-bearing clinopyroxene (K-Cpx) fills hydrothermal micro-veins together with uvarovite within albite vein of a tremolite rock. K-Cpx consists mainly of kosmochlor + augite (92-98%; Ko19-38Aug56-76) components and minor amounts of jadeite (0-6%), aegirine (0-5%), Ca-Tschermak (0-3%), and K-kosmochlor (0-2%). K correlates with Na and Cr, indicating a simultaneous enrichment of K for Na and Cr during pyroxene growth. The incorporation of K into the kosmochlor_-_diopside series solid solution with at least 0.2 Cr cation p.f.u. is possible even at low P conditions.
  • 中村 美千彦, 大内 智博
    セッションID: G4-11
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
    Mechanism of Ni incorporation into dunite has been studied in order to simulate the compatible elements behavior in fluid-bearing rocks. Fe-free dunites were synthesized from gel powders using a piston cylinder apparatus. The gel powders were put into Pt-lined Ni capsules with water. As the run proceeded, Ni penetrated Pt liner all the way through and infiltrated into dunite in which forsterite grains were continuously growing. The sweeping of the grain boundaries that are enriched in Ni by grain boundary diffusion and surface equilibration should be responsible for more effective Ni - Mg exchange flux between fluid and olivine than by inter-diffusion from the stationary grain boundaries.
  • 池田 剛, 西山 忠男
    セッションID: G4-12
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
     開放系の反応で生じた,かんらん石-斜長石間の反応縁の形成温度を,反応縁中の鉱物間とマトリクス中の鉱物間の分配係数差を用いてマトリクスの平衡温度からの差として見積もった。 微細構造および鉱物化学組成  対象とした試料は,北部九州背振山地の白亜紀花崗岩類中に産する超塩基性岩で,グラニュライト相の変成作用(850℃,5 kbar)を被っている(大和田ほか,2005:地質雑)。粗粒のかんらん石(Fo87),斜長石(An100),普通角閃石,スピネル,および細粒の斜方輝石,イルメナイトからなり,かんらん石は不規則な外形を呈する。斜長石は不規則な外形を示し,後述の2種類の反応縁のいずれかに囲まれている。スピネルは粗粒でマトリクスやかんらん石,斜長石中の包有物として産するものと,以下の反応縁中にシンプレクタイトとして産するものがある。  反応縁の1つは,斜長石を取り囲む,普通角閃石とスピネルのシンプレクタイト(シンプレクタイト帯)とそれに隣接するトレモラ閃石のみの帯(トレモラ閃石帯)からなる。両帯の角閃石は同じ結晶方位をもつ。シンプレクタイト帯からトレモラ閃石帯に向かって,角閃石のAl, Fe/(Fe+Mg) は減少する。トレモラ閃石帯中に斜方輝石が産することもある。もう1つの反応縁は,斜長石とかんらん石の間に発達する幅70 μm 以下の斜方輝石集合体である(斜方輝石帯)。斜方輝石帯およびトレモラ閃石帯に産する斜方輝石のAl も,かんらん石へ向かって減少する。 反応縁形成反応  H2O流体を仮定すると,反応縁およびマトリクスを構成する鉱物間には,次のような化学量論的関係が成立する。 Ol + Pl + Opx + Fluid = Spl + Hbl この式は,斜方輝石が反応物になるため,反応縁の組織を説明することはできない。斜方輝石を生成物とするためには,開放系が必要であり,移動成分の種類を最小にする反応は, Ol + Pl + SiO2 + H2O = Opx + Hbl + Spl となる。系外からのSiO2 の供給で反応縁が発達したと考えられるが,その形成温度をこの反応式から求めることはできない。 反応縁形成温度  角閃石と斜方輝石はマトリクスにも反応縁中にも産するので,両者のFe-Mg 交換反応の平衡定数の差を用いて,最高温度からの差として反応の温度を求めた。その結果,反応縁を形成する反応は約500℃で生じたことが分かった。このことは反応縁が後退変成作用時に形成されたことを意味する。
  • 鄭 常青, 榎並 正樹, 加藤 丈典
    セッションID: G4-13
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
  • Sajeev K., Santosh M., Kim H.S., 板谷 徹丸
    セッションID: G4-14
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    The Kodaikanal region of Madurai Block in southern India exposes a vast segment of high-grade metamorphic rocks dominated by Al-rich migmatite suite, designated herein as the Kodaikanal Metapelite Belt (KMB). The peak metamorphic assemblage is considered to be garnet-spinel-cordierite-quartz, which indicates possible pressure-temperature conditions of 900 °C at 7-8 kbar based on petrogenetic grid considerations. We show that the evidence for extreme crustal metamorphism at ultrahigh-temperature (UHT) conditions in granulite facies rocks can be extracted even if they lack typical UHT mineral assemblages due to bulk chemical constraints.
  • 郷津 知太郎, 板谷 徹丸
    セッションID: G4-15
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
    To reveal exhumation history of UHPM rocks, isochron ages in K-Ar system are examined with phengite and paragonite in the eclogitic rocks from the Tso Morari complex (TMC), western Himalaya, India. TMC is composed of pelitic gneisses and schists including mafic rock lenses (eclogites and basic schists). Eclogite has coesite pseudomorph in garnet and/or quartz rods in omphacite, suggesting UHPM. Pelitic schist gives an isochron age of 91±13 Ma using K-Ar analyses of paragonite and phengite. Phengite and paragonite in eclogite were analyzed by Ar/Ar method. Step-heating analyses using single phengite crystal showed 132 Ma plateau ages. The inverse isochron age by spot analyses of paragonite and phengite is 130±39 Ma.
  • PAUDEL Lalu Prasad, 在田 一則, 板谷 徹丸
    セッションID: G4-16
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
    The Lesser Himalaya in central Nepal exposes an inverted metamorphic sequence. The metabasites in the sequence occur as sheet-like bodies of a meter to tens of meters thickness. All the samples studied have the mineral assemblage Amp+Ab+Ep+Qtz+Titanite±Magnetite. Amphiboles occur as (1) sheared and elongated porphyroclasts with asymmetric pressure shadows and overgrown rims, (2) acicular and bladed aggregates parallel to the foliation and (3) inclusions in plagioclase. Amphibole chemistry suggests that (i) the peak metamorphism was attained during shearing related to the MCT movement and (ii) the peak thermal structure is inverted in the MCT shear zone.
  • 川嵜 智佑
    セッションID: G4-17
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
    泥岩の溶融実験からコランダム-石英共生を得たので、報告する
  • 廣井 美邦, 本吉 洋一, 外田 智千, 白石 和行
    セッションID: G4-18
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    スリランカや南極に産出する石英に富むコンダライトの一部にスピネルやコランダムが形成されている。従来、主として鉱物組織から、スピネル形成反応は外部からの流体浸入による部分融解反応と推定してきたが、この度新たに、主として南極から野外のデータが得られ、部分融解反応である可能性が増大した。
  • 河上 哲生, 本吉 洋一, 池田 剛, 草地 功, Grew Edward S., Shearer Charles K.
    セッションID: G4-19
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    東南極リュツォ・ホルム岩体明るい岬に産するコーネルピンの産状を報告し、残存する組織から読みとれる形成・分解反応およびそのプロセスについて考察する。コーネルピン中の包有物から推定されるコーネルピン形成反応は Tur±other phase(s)→Krn+Bt+ruby+Pl である。一方、コーネルピンはクラックに沿う形で部分的に電気石、黒雲母(緑色)、サファイア、マグネサイト(Mgs)、アルバイト成分に富む斜長石(Pl)、稀にアルミノシリケイト(Als)に置換されている。これは流体との反応に伴う2次的反応組織であり Krn+Na, Ca, K, CO2-bearing fluid→Tur+Bt+sapphire±Mgs±Pl±Als が起きたことを示す。 リュツォ・ホルム岩体の泥質岩にはホウ素鉱物が稀にしか産せず、産出する場合も後退変成期に形成されたものが多い。こうした特徴は、昇温変成作用の過程で、少なくとも泥質岩中からは、流体やメルトに入ってホウ素が抜け出る活動が生じたことを示す。コーネルピン産出部分にどのようにしてホウ素が濃集し、コーネルピンの材料となる電気石を形成したかは不明だが、仮に含ホウ素流体の流入によるとすると、コーネルピンの形成時期を制約することで、ホウ素を含む流体の活動時期を制約できるかもしれない。
  • 馬場 壮太郎, 海田 博司, 外田 智千, 白石 和行, 大和田 正明
    セッションID: G4-20
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
    会議録・要旨集 フリー
    Schirmacher Hillsは東南極の中央ドロンイングモードランドのPrincess Astrid 海岸(東経11°30'∼11°50' ,南緯70°45')に位置する東西20km, 南北3kmの露岩である.その海岸線から約100∼150kmの内陸には,内陸山地群(CDMLN)(標高2500∼3000m) が東西約400kmに渡って分布している.Baba et al.(2003, in press)はSchirmacher Hillsより,含サフィリン斜方輝石-ザクロ石グラニュライトを見出し,その鉱物組み合わせ,斜方輝石のAl203含有量から変成ピーク時の条件として950°C以上, 約8kbarを見積もり超高温変成作用の存在をはじめて報告した.CDMLNは角閃岩相∼グラニュライト相の変成作用を被っているが,Schirmacher Hillsに見られる変成作用と一連かつ同時期のものであるかについては不明である.そこで,今回は含サフィリン斜方輝石-ザクロ石グラニュライト中のジルコンについて,U-Pb年代を国立極地研究所のSHRIMP IIを用いて測定した結果を報告し,CDMLNにおける変成作用との関係について議論する.
  • 本吉 洋一, 廣井 美邦, 外田 智千, 白石 和行
    セッションID: G4-22
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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     東南極リュツォ・ホルム岩体は(1)角閃岩相からグラニュライト相への累進的な変成度の上昇、(2)珪線石を含む岩石中の残晶状藍晶石の出現、(3)550-520 MaのジルコンのSHRIMP U-Pb年代(Pan African変動の重複年代)で特徴づけられてきた(Hiroi et al., 1991; Shiraishi et al., 1994, 1997)。しかし、同岩体の日の出岬からは、SHRIMPによって1017 Maの年代が得られているが、他の地域に見られる500 Ma 前後の年代は報告されていない。本報告では、電子線マイクロプローブ(EMP)を用いたモナザイトの年代測定結果を報告するとともに、2004年12月に行った現地調査の結果も合せて、日の出岬変成岩類の帰属について議論する。    SHRIMPによって報告されたジルコン年代は、火成岩起源の変トロニエム岩からのものであったので、同地域の変泥質岩4点について新たにEMP年代測定を行った。その結果、935-1007 Maのアイソクロン年代が得られ、SHRIMPによる結果より若干若いものの概ね調和的であった。また、500 Ma前後の年代は、どのモナザイトからも検出されなかった。さらに現地調査の結果、塩基性片麻岩の一部から斜方輝石+単斜輝石の共生が確認され、変成度がグラニュライト相条件に達していたことも明らかになった。    以上の年代学的、記載岩石学的事実から、(1)日の出岬の岩石の変成年代は約10億年前であり、またPan African変動の重複を受けていないこと、(2)変成条件はグラニュライト相に達しており、リュツォ・ホルム岩体の変成地温勾配とは調和的ではないこと、(3)Hiroi et al. (1983)によって報告されている藍晶石の産状からも、リュツォ・ホルム岩体のP-T経路とは異なる変成履歴を有している可能性があること、が明らかになった。つまり、日の出岬はリュツォ・ホルム岩体の中では異質なブロックであり、その帰属については再検討する必要がある。東南極大陸において、1000 Ma前後の変成年代が得られている地域はリュツォ・ホルム岩体に隣接するレイナー岩体内陸部であるが、今後記載岩石学的データも含めて詳細に検討したい。 【文 献】 Hiroi et al., 1983, Mem. Natl. Inst. Polar Res., Spec. Issue, 28, 115-131. Hiroi et al., 1991, in Geological Evolution of Antarctica, 83-87. Shiraishi et al., 1994, Geology, 102, 47-65. Shiraishi et al., 1997, in Antarctic Region, 79-88.
  • Thierry Othon Nirihaja Rakotonandrasana, Makoto ARIMA, Rambeloson Roge ...
    セッションID: G4P-13
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    We examined petrological characteristics of the metapelites from the Androyen system, which occupies the eastern part of the terrain. It is composed of charnockite, leptynites, pyroxenite, granite and metapelites. This terrain is bounded by two major shear zones: to the north by the SW-SE trending Bongolava-Ranotsara shear zone and to the west by NS Betroka shear zone. In this study we mapped Spl-Qtz occurrences in the metapelites in strikingly wide areas extending over ∼200km. Spl-Qtz rocks are distributed along the two shear zones (Bongolava Ranotsara shear zone and Betroka shear zone). The Spl-Qtz metapelites probably represent the roots of the continental crust uplifted during the Pan African collision event.
  • Talla Takam, Emmanuel Nsifa Nkonguin, Makoto Arima
    セッションID: G4P-14
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    The Ntem Complex is situated at the north-western border of the Congo Craton in the south of Cameroon. It makes up the Archean basement and extends over its contact with the North Equatorial Mobile Belt represented by the Yaounde group. This group overthrusted the Ntem Complex during the Pan-African orogeny (650-500 Ma) and is affected by high pressure syn-tectonic metamorphism. The Sangmelima region belongs to the Ntem Complex made up of three main lithologic groups: the intrusive complex (TTG, Granodiorites and Granites), the banded series and greenstone belts or iron trenches, so has undergone several magmatic episodes. The first is linked with the beginning of the major deformation phase (D1) faced by the region, associated with a granulite facies metamorphism. It corresponds to the successive diapiric emplacement of charnockitic rocks (TTG suite) during Meso to Neoarchean (2.9-2.8 Ga). The intense migmatization of TTG and the emplacement of Potassic Granitoids which marked the second magmatic episode, correspond to the period between 2.6-2.5 Ga. TTG and Orthogneisses are of Trondhjemitic affinity whereas Potassic Granitoids are high-K acid rocks of typical Calc-alkaline differentiation series. This Archean-Proterozoic transition granitic magmatism (2.6-2.5 Ga) is one of the important stages in the evolution of the Ntem Complex (Congo Craton) since it marks a crustal reworking event.
  • 砂田 大樹, 榊原 正幸
    セッションID: G4P-15
    発行日: 2005年
    公開日: 2008/04/04
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    発表者らは,四国中央部,西条_から_土居地域においてナップ境界と推定される構造的不連続を見出し,下盤側(南側)の厚層の塩基性および珪質片岩によって特徴付けられるユニットを別子ナップ,上盤側(北側)の砂泥質片岩を主体とするユニットを大生院ナップと定義した.ナップ境界およびその周辺地域には構造岩塊である蛇紋岩が多数認められる ナップ境界を挟んで変成度の変化を定量的に検討するため,マフィック鉱物のFe-Mg分配係数(XMg)の最大値を測定した.比較的平衡に近いと考えられるザクロ石および電気石の分配係数に着目した結果,ザクロ石および電気石のXMgは,それぞれ大生院側と比較して別子ナップ側のそれが高く,不連続である.また,別子ナップ内のXMgの分布はナップ境界と斜交している.これらの温度構造の不連続はナップ構造を支持する有力な証拠である.
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