熱帯から温帯の浅海域に広く生息している造礁サンゴは, 水温や水質, 光などの環境要因に鋭敏に応答する. 特に, 骨格に形成される年輪様構造や骨格中の元素の組成比・同位体比は, 生育環境により大きく変動することが知られている. 我々は, 炭素同位体比に影響を与える環境要因の解明を目的として, 約500日間に及ぶハマサンゴの飼育実験を行なった. 共生藻の光合成活性に直接関わる光条件 (強度と日長) を変えて飼育し, 飼育期間中に形成された骨格の炭素同位体比 (δ13C) について光条件や共生藻の光合成色素量などとの相関を解析した. ここでは, これらの研究を進める過程で開発してきたハマサンゴの飼育法や各種の実験手法を中心に報告する.