JAMSTEC Report of Research and Development
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最新号
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JAMSTEC-Rの終刊について
  • 2019 年 28 巻 p. 1-2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/03
    ジャーナル フリー

    2019年3月

    2005年に創刊された「JAMSTEC Report of Research and Development(JAMSTEC-R)」は本28巻をもって終刊いたします.

    当機構は2004年に新しく独立行政法人として発足した際に,研究開発を推進するとともに,より広く学術研究の発展に資するという目的を持ちました.この目的に沿う変革のひとつとして,既存のテクニカルレポート「海洋科学技術センター試験研究報告」と科学出版物「JAMSTEC深海研究」を統合し,新しくJAMSTEC紀要学術誌として「JAMSTEC-R」を創刊し,急速に進む電子化に歩調を合わせた出版を目指しました.この目標はある程度達成されましたが,さらに国際的な認知度を高め,調査・観測,研究開発で得た画像や動画も科学的な成果として発信するなど新たな出版形態も取り入れる必要が生じていると認識しています.

    今回,JAMSTEC-Rの発行を通して得られた我々の経験を生かし,次の段階へ進んで参りたいと思っております.

    これまでJAMSTEC-Rを支えてくださった著者の皆様,査読者の皆様,歴代編集委員ならびに事務局の皆様,技術支援をいただいた皆様,そして歴代の編集委員長である石田瑞穂氏,北里洋氏,末次大輔氏に感謝の意を表します.

    国立研究開発法人海洋研究開発機構

    理事長  平 朝彦

原著論文
  • Chihiro Kodama, Akira Kuwano-Yoshida, Shingo Watanabe, Takeshi Doi, Hi ...
    原稿種別: Original Paper
    2019 年 28 巻 p. 5-34
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/03
    ジャーナル フリー HTML

    The JAMSTEC Model Intercomparison Project (JMIP) provides a first opportunity to systematically compare multiple global models developed and/or used in JAMSTEC with the aim of moving toward better weather and climate predictions. Here, we evaluate climate simulations obtained from atmospheric models (AFES and MIROC5), atmospheric model with slab ocean (NICAM.12), and fully coupled model (SINTEX-F1 and SINTEX-F2). In these simulations, the sea surface temperature is fixed (for AFES and MIROC5) or nudged (NICAM.12, SINTEX-F1, and SINTEX-F2) to the observed historical one. We focus on the climatology and variability of precipitation and its associated phenomena, including the basic state, the energy budget of the atmosphere, extratropical cyclones, teleconnection, and the Asian monsoon. We further discuss the possible causes of similarities and differences among the five JMIP models. Though some or most of the dynamical and physical packages in the JMIP models have been developed independently, common model biases are found among them. The AFES and MIROC5, and the SINTEX-F1 and SINTEX-F2, show strong similarities. In many respects, NICAM.12 shows unique characteristics, such as the distributions of precipitation, shortwave radiation, and explosive extratropical cyclones and the onset of the Asian summer monsoon. To some extent, the similarities and differences among the JMIP models overlap with those among the Coupled Model Intercomparison Project Phase-5 (CMIP5) models, suggesting that JMIP can be used as a simple and in-depth version of CMIP to investigate the mechanisms of model bias. We suggest that this JMIP framework could be expanded to an intercomparison of weekly-to-seasonal scale weather forecasting; here, more fruitful discussion is expected through intensive collaboration among modeling and observation groups.

  • 土田 真二, 河戸 勝, 後藤 慎平, 高橋 幸愛, 笠井 彩香, 藤倉 克則, 藤原 義弘
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 28 巻 p. 35-42
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/03
    ジャーナル フリー HTML

    陸上や浅海の生態系では,トップ・プレデター(頂点捕食者)が捕食を通じて生態系内の生物量や多様性の維持に重要な役割を果たしていることが知られており,これをトップ・ダウン・コントロールと呼ぶ.しかしながら,深海においては,サメ類などの大型捕食魚類の栄養段階が高く,トップ・プレデター候補であると考えられているものの,情報が乏しくそれらの役割についてもほとんど理解されていない.また,一部には長寿命であるものや成熟サイズに至るまでに長期間を要することが知られている.これまで多くの深海性サメ類の研究ではその脆弱性を考慮することなく,深海トロール調査など致死的な手法を用いて試料採集が行われており,非致死的な研究手法の開発が急務である.そこで,非致死的にわずかな軟組織を採取する自動現場バイオプシー装置の開発を行い,生態系に与える負荷を必要最低限にして,調査を進めることを検討している.サメ類の中には,硬い表皮をもつヨロイザメやユメザメなどが知られており,このような魚類からも容易に試料を採取するためには,サメ類の表皮を効率よく貫通するための針の形状やそのときの貫通力を明らかにする必要がある.そこでヨロイザメ,ユメザメ,サガミザメの3種計11個体用いて,様々な針先の形状(円錐型,ベベル型,三角錐型),針先角度(20度,30度,40度),針径(6mmおよび8mm)の針を使った表皮の刺突性評価試験を実施した.その結果,サメ類ではサガミザメを用いた場合がもっとも貫通力が小さく,針先が三角錐型,針先角度30度の場合で22.1Nであった.ユメザメとヨロイザメでもっとも貫通力が小さかったのは,どちらも針先が三角錐型,針先角度20度の場合で,それぞれ65.3N,95.3Nであった.もっとも貫通力が大きかったヨロイザメの表皮は,サガミザメの3.6~6.0倍,マサバの55.3倍となった.自動現場バイオプシー装置の開発にあたり,針先を三角錐型,針先角度20度もしくは30度とし,95.3N以上の力で押し込む射出機構が必要と考察した.

報告
  • 伊勢戸 徹, 齋藤 暢之, 一柳 麻里香, 森岡 美樹, 細野 隆史, 土田 真二, 北山 智暁, 佐々木 朋樹, 齋藤 秀亮, 久積 正具 ...
    原稿種別: 報告
    2019 年 28 巻 p. 43-53
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/03
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    海洋研究開発機構(JAMSTEC)は2007年に策定した「データ・サンプルの取り扱いに関する基本方針」に基づき,JAMSTECに帰属するデータ・サンプルを管理,公開し,その幅広い利用を推進している.調査航海で採取された生物サンプルについては,その情報をJAMSTECの情報管理部署がデータベースに登録し一元的に管理しつつも,サンプル自体は採取した研究者らがJAMSTEC内外の各機関に持ち帰って利用しており分散的に管理されている.つまり,生物サンプルは情報管理部署とJAMSTEC内外の研究者らによる共同管理体制をとっている.この生物サンプルの共同管理体制は一見特殊にも見えるが,自機関に帰属するサンプルについて,その所在を把握し,管理していくためには必然的な仕組みだとも言える.また,データベースを公開しており,登録されたサンプルに対して他者が利用申請をする機会を提供している.JAMSTECのサンプルには,これまで博物館やバイオリソースセンター等に保存され提供されてきたサンプルのように永続的に保存されるサンプルも含まれるが,研究者らが日々利用し消費されていくサンプルが多い.このため,JAMSTECの生物サンプル管理と利用の仕組みは,これまで他機関が実施してきた仕組みよりも広範なサンプルの利用機会を拡大しているものであり,サンプルから最大限の科学的成果を生み出し,社会に役立てていくことを目指すものである.

データ論文
  • Takehisa Yamakita, Hiroo Imaki
    原稿種別: Data Paper
    2019 年 28 巻 p. 54-60
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2019/04/03
    ジャーナル フリー HTML

    This fine resolution basin database provides basin model over 10ha sub-basins of the Sanriku coastal area located in the north west Pacific side of Japan. The data contain watershed boundary and flow path data about the target area created by use of a 10m digital elevation model (DEM). Using this data, the coverage area was increased over 721.66km2 compared to the low resolution public data set provided by the government. It increased the coastline coverage from 17% to 84% compared with the low resolution data set in 1km grid. For use in the coastal area or river discharge model, this data also contains the overall drainage basin boundary at the river mouth. The area of this survey was highly damaged by the tsunami on The 2011 Great East Japan Earthquake and post-disaster anthropogenic impact. Thus, this database will be of interest in the context of changes in land use and river discharge to assess both post-disaster anthropogenic impacts on the ecosystems.

     

    Complete dataset is available via site:http://www.godac.jamstec.go.jp/catalog/data_catalog/metadataDisp/JAMSTEC-R_28DP01?lang=en&view=simple

JAMSTEC-R終刊によせて
  • 2019 年 28 巻 p. 61-62
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/03
    ジャーナル フリー

    2019年3月

    海洋研究開発機構が発行する「JAMSTEC Report of Research and Development(通称JAMSTEC-R)」は,第3期中期計画の終了とともに,本年3月末に発行する本28巻をもって終刊となります.

    JAMSTEC-Rは,1977年(昭和52年)に発刊された「海洋科学技術センター試験研究報告」と1985年(昭和60年)発刊の「JAMSTEC深海研究」を統合して,2005年(平成17年)に創刊されました(63-65頁参照).それ以来,JAMSTEC-Rは海と地球の研究開発成果を発信する学術誌として年2回刊行されてきました.本誌は,海洋研究開発機構において研究・技術開発に携わる方の研究成果を発信し,また機構外の方からも投稿を受け付け,当機構の調査機器・研究設備・データ・サンプル等を利用した調査・研究活動成果を発信する学術誌として役立てられてきました.またJ-STAGE(科学技術振興機構(JST))を通じて電子ジャーナルも公開してきました.

    JAMSTEC-Rの終刊をもって,昭和の時代から続けてきたJAMSTEC紀要としての学術誌の発行は終わります.このことに残念な気持ちはありますが,JAMSTEC-Rがカバーしてきた環境・固体地球・生命・情報など海と地球に関する研究開発成果がJAMSTECのwebはもとより機構外の学術誌などを通じて積極的に発信されることを期待します.また,これまで掲載された論文(66-81頁参照)は,今後もJAMSTEC文書カタログとJ-STAGEから閲覧可能です.

    これまでJAMSTEC-Rに投稿してくださった著者の皆様,査読者の皆様,歴代の編集委員の皆様,JAMSTEC-R編集事務局の皆様,そして読者の皆様に深く感謝いたします.

    国立研究開発法人海洋研究開発機構

    JAMSTEC-R編集委員会編集委員長

    末次 大輔

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