2011 年 13 巻 p. 89-105
ドレッジを用いた海底岩石の採取の際,ドレッジを目的の場所に確実に着底させることが重要である.しかし,これまでのドレッジオペレーションでは,ドレッジの位置(緯度・経度)を具体的に把握することが困難であった.我々は,海洋地球研究船「みらい」のMR08-06Leg-1b航海において,観測ワイヤーに小型トランスポンダーを取り付け,ドレッジ位置のリアルタイムモニタリングを試みた.船に搭載されている音響航法装置のモニター画面にトランスポンダーの位置を表示させることによって,事前の調査で岩石の露出が予想された測線に沿ってドレッジが曳航するように的確な操船を行うことができた.以上のシステムによって,安全かつ確実に岩石試料を採取することに成功した.さらに,その後の解析により,曳航時のドレッジの具体的な動き方も明らかになった.