2016 年 23 巻 p. 34-40
海洋上の大気微量成分の動態把握のために,陸上で観測を行っているMAX-DOAS (Multi Axis Differential Optical Absorption Spectroscopy) 法を船上観測に適用し,これまで海洋地球研究船「みらい」等の船上で観測を実施してきた.船上で陸上の場合と同様に安定した水平面の上で動作させるために,船の揺れを打ち消す能動型ジンバルをもちいて観測を実施してきたが,装置が大きく重量があり,輸送や汎用性に問題があるため,小型・軽量化装置の開発に着手した.MAX-DOAS法では,太陽散乱光を低い仰角で精度良く測定することが必要であり,そのため高い精度でテレスコープの観測仰角を制御する必要がある.本研究では小型化のため,能動型ジンバルを使わずに,船の揺れを検知し,その揺れを打ち消すように受光プリズムを制御することにより観測仰角を一定に保つ機構を開発した.2014年度に「みらい」で観測を行ったところ,高精度で安定した動揺補正が行われていることを確認した.