2018 年 27 巻 p. 13-25
新青丸KS-16-E01航海で,瀬戸内海の海域にある中央構造線断層帯西端の詳細マッピング,基礎地質情報取得を目的として,佐田岬半島沖において,海底地形,浅層構造,重力調査を行った.調査域東側の詳細海底地形には,強い潮流により形成されたと考えられるサンドウェーブ構造が見られた.調査域の西側はサンドウェーブが発達せず,比較的滑らかな海底地形である.中央構造線断層帯に対応するような段差地形,横ずれ断層の活動によって形成されたと考えられる窪みが見られた.調査域西側のサブボトムプロファイラ記録からイメージされる浅層構造には,完新世と更新世の堆積層境界と解釈できる音響層序,断層と考えられる堆積層構造の上下方向のずれが確認された.中央構造線に沿って重力異常の急変帯があり,海岸沿いの南東側が高異常,北西側が低異常となっている.重力異常は海底近くの堆積層より深部の基盤構造を反映するものと思われる.重力異常から推定される基盤構造の形状は,リストリック断層を伴うハーフグラーベン構造と調和的である.