2017 年 66 巻 5 号 p. 500-507
2013年にASCO/CAPガイドラインが改訂され,乳癌のHER2検査におけるimmunohistochemistry(IHC),in situ hybridization(ISH)の判定基準が変更された。今回は,改訂前後のHER2-FISH判定の変化を検討した。当院にて2014年4月から2016年3月の間にHER2-FISH検査が行われた浸潤性乳癌症例226例を対象とした。ガイドライン改訂後の判定基準により再評価し,以前の結果と比較した。判定結果が変化した症例は,ER,PgR,HER2-IHCの結果との関連についても検討した。226例中,改訂後の判定基準によるPositive症例は37例であった。37例中2例は,HER2/CEP17比2.0未満だが平均HER2遺伝子コピー数6.0以上の症例であった。Equivocal症例は24例で,以前の基準での判定結果と比較して有意に増加した(p < 0.01)。再評価により判定結果の変化した症例25例(Positive 2例,Equivocal 23例)は全て,以前の基準ではNegativeと判定された症例であった。これらのうち4例(Positive 1例,Equivocal 3例)は,Triple negative乳癌であった。今回の結果から,2013ASCO/CAPガイドラインを適応することで,抗HER2薬対象患者がひろがることが示唆された。