医学検査
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原著
  • 及川 加奈, 舟橋 恵二, 宮澤 翔吾, 魚住 佑樹, 堀井 洋利, 河内 誠, 西村 直子, 尾崎 隆男
    原稿種別: 原著
    2022 年 71 巻 2 号 p. 193-200
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    2018年5月~2019年4月の1年間に当院小児科において175例(1か月~14歳,中央値4歳10か月)からStreptococcus pyogenes 175株が分離された。分離されたS. pyogenesのT血清型,13種抗菌薬(PCG, CDTR, CTX, CTRX, CFPM, MEPM, EM, CAM, AZM, CLDM, TFLX, LVFX, VCM)のMICおよびCLDM誘導耐性を調査し,過去にわれわれが行った5回の調査成績(1996年,2001年,2003年,2006年,2013年)と比較した。分離株のT血清型は1型64%,12型18.3%,B3264型9.1%,4型2.3%の順であった。過去5回の調査成績と比べて1型の分離率は著しく上昇し,12型は低下した。EM,CAM,AZM,CLDM,LVFXにそれぞれ41.7%,42.3%,42.3%,11.4%,1.1%が耐性を示し,2株(1.8%)がCLDM誘導耐性を示した。βラクタム系抗菌薬およびVCMに耐性の株は認められなかった。EM耐性率の増加傾向が認められ(1996年8.6%,2001年13.6%,2003年20.0%,2006年19.6%,2013年58.1%,2018年41.7%),近年では約半数の株がマクロライド系抗菌薬耐性であった。過去5回の調査での分離株を含む全1,871株に,βラクタム系抗菌薬およびVCM耐性株を認めなかった。

  • 中野 裕樹, 小野 佳一, 西森 まどか, 岩田 公野, 三澤 慶樹, 盛田 和治, 蔵野 信, 矢冨 裕
    原稿種別: 原著
    2022 年 71 巻 2 号 p. 201-209
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    外来採血室の運営には,安全な採血や待ち時間短縮および接遇をはじめとした患者サービス,正確な検査を行うための検査前プロセスの品質管理,患者とり違いなどの重大なインシデントの防止など,多数の課題解決が求められている。当院では,毎月の採血ミーティングで運用変更点の周知や注意喚起を行うとともに採血業務従事者を対象としてe-learningを用いた確認テストを行っている。今回,2016年4月から2019年3月までに作成した確認テストの計136問について,出題形式,ジャンル,実施率の解析を行った。またアンケート調査を実施し,e-learning問題に対する採血業務従事者の評価を分析した。さらに,e-learningシステム導入前後の不適切な検体採取や確認不足の発生率を集計し実施効果を評価した。実施率向上および採血従事者の理解や効率的な注意喚起のためには,画像や動画を活用することで,実施しやすく理解しやすい問題を作成することが重要であると考えられた。e-learning実施効果の分析の結果,e-learningの導入前後3年間における不適切な検体採取や確認不足によるインシデントの発生率は導入後に有意に減少した。e-learningは注意事項や運用変更点,また正しい採血手技の周知に有用なツールであり,検査前プロセスの品質管理向上やインシデント防止に寄与することで採血室業務改善に効果を発揮することが確認できた。一方で,e-learningシステムの限界も確認でき,より良い採血室運営のためには様々な方向からのアプローチが望まれる。

  • 戸田 小弥可, 丹 美玖, 星野 友美, 品川 佳央里, 竹内 麻, 佐藤 麻里, 長谷川 宏美, 櫻井 信司
    原稿種別: 原著
    2022 年 71 巻 2 号 p. 210-216
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    がん検診の結果を各々の実施施設で分析を行うことは,検診の精度,有用性を検証する上で重要である。今回,当院健診センターで実施された乳がん検診の分析を行った。対象は2015年4月1日から2018年3月31日の3年間に,当院健診センターで乳がん検診を受診した延べ18,971人で,がん検診の管理指標項目,陽性者の最終診断,検診時マンモグラフィ(MG)と精密検査(精検)で施行された乳腺超音波検査(US)の比較,がんと最終診断されるまでの経過について調査を行った。3年間の各精度管理指標は,要精検率6.3%,5.0%,6.6%,精検受診率は86%,89%,85%,陽性反応的中度は3.5%,3.4%,2.2%で,ガイドラインの許容値を満たしていたが,がん発見率は0.20%,0.17%,0.15%と,許容値を下回っていた。がん発見率の許容値はMG検診初回受診者を対象とした参考値であるが,当院健診センターは職域健診におけるがん検診(以下,職域)が主体で,毎年,同じ事業者の健診者が繰り返し受診している症例の多いことも原因と推測される。MGとUS検査の比較では,乳がんの診断において互いに補完する可能性が示唆され,MG,US併用検診の有用性を支持する結果であった。がんと診断された34人のうち,前年度の検診でA判定とされていた症例が12例存在し,そのうち4例は進行がんであった。これらの結果からは,適切な検診間隔,MGとUSの併用検診について,さらなる検討も必要があると考えた。

  • 林 智剛, 渡邉 恒夫, 浅野 博美, 寺林 伸夫, 高田 彩永, 中山 純里, 篠田 貢一, 野久 謙
    原稿種別: 原著
    2022 年 71 巻 2 号 p. 217-221
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    腱板断裂(rotator cuff tear; RCT)は,整形外科の領域において高頻度の疾患であり,症状としては強い痛みと機能障害がある。本研究の目的は,超音波検査(ultrasonography; US)を用いた簡易的に評価した腱板脂肪浸潤の程度と断裂サイズの関連性を解析し検討することである。対象は,2018年10月から2019年8月までに関節鏡視下腱板修復術の術前にUSを施行した22症例(男性17人,女性5人,平均年齢64.8 ± 11.5歳)とした。USの評価項目は,脂肪浸潤について棘上筋(supraspinatus; SSP)と棘下筋(infraspinatus; ISP)を軽度,中等度,高度の3 段階に分けて評価した。RCTについては,断裂なし,小断裂(不全断裂を含む),中断裂,大断裂以上に4分類し,脂肪浸潤との関連性について検討した。結果は,RCTのサイズと脂肪浸潤について,SSP,ISPともに有意な関連性を認めた(p < 0.05)。

  • 笹野 まゆ, 石塚 敏, 藤田 龍司, 小林 悠梨, 安尾 美年子, 三浦 ひとみ, 岩藤 和広, 江川 裕人
    原稿種別: 原著
    2022 年 71 巻 2 号 p. 222-230
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    (目的)ABO血液型不適合生体肝移植は,移植前にできるだけ多くの血液型抗A/B-IgGを除去することが重要であると考えられている。しかし,移植前の血液型抗A/B-IgGの抗体価に関係なく,超急性拒絶反応の存在を示唆する稀なケースが存在する。筆者らは,血液型抗A/B-IgGが拒絶反応に関与する免疫学的メカニズムを解明するため,血液型抗A/B-IgG1~4サブクラスの検出法を新たに開発した。(対象および方法)レシピエント20症例の血液型抗A/B-IgGについて,従来法の間接抗グロブリン法による抗体価およびフローサイトメトリー法を用いたtotal IgG,IgG1~4サブクラス,C1q結合抗体を測定した。(成績)本研究の結果から,肝移植前の血液型抗体IgG1~4サブクラスの分布比率は,IgG2(34.2%),IgG1(29.1%),IgG3(20.3%),IgG4(16.5%)の順であった。そして,ABO血液型不適合生体肝移植における強烈な拒絶反応には,特に血液型抗A/B-C1q結合抗体やIgG1またはIgG3の変化が重要と考えられた。(結論)したがって,これらの方法は,ABO血液型不適合生体肝移植での液性拒絶反応を回避するために有用な検出法になる可能性が示唆された。

  • 大枝 昭平, 木村 洋介, 二木 友子, 鳩貝 名津紀, 本橋 直美, 宍戸 衛, 山口 龍志郎, 中川 裕司
    原稿種別: 原著
    2022 年 71 巻 2 号 p. 231-237
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    Pfizer社製新型コロナウイルスワクチン「コミナティ筋注」を接種した当法人の医療従事者56名を対象として抗新型コロナウイルスIgG抗体の測定を行った。測定は全自動化学発光酵素免疫測定システム ルミパルス®G1200および,化学発光酵素免疫測定法試薬SARS-CoV-2 S-IgG測定試薬(IC)(H.U.フロンティア株式会社)を使用した。測定の結果,対象者すべてにカットオフ値1.0 AU/mL以上の抗体価獲得を認め,最小抗体価10.5 AU/mL,最大抗体価227.2 AU/mL,中央値62.2 AU/mLを得た。獲得される抗体価の多寡に影響を及ぼし得る因子として性別,年齢,BMI,既存B型肝炎ウイルス抗体価,および飲酒・喫煙習慣の有無に着目して解析を行った結果,抗体価の多寡は年齢の影響を最も大きく受け,その影響は統計学的有意差を生じさせ得ると分かった。その他の因子については統計学的有意差を生じさせないものの,飲酒習慣の有無,既存B型肝炎ウイルス抗体価,BMI,喫煙習慣の有無,性別の順に影響力を持つことが明らかとなった。本稿によって,B型肝炎ワクチン不応者であっても抗体獲得が可能であることが示された一方で,今回の検討因子以外の影響因子の検討の必要性が示唆された。

  • 保科 ひづる, 森 栄
    原稿種別: 原著
    2022 年 71 巻 2 号 p. 238-244
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    胸水検体の検査項目細胞数と分類,Lightの基準のTP比・LD,pH各々判断を行い,結果と貯留原因病態①心不全,②腫瘍性,③肺炎,④膿胸,⑤結核,⑥腎不全・肝硬変・低栄養726件と比較検討を行った。細胞数のcut off値は,漏出性と滲出性に区分した病態のROC曲線からYouden Indexを用いた結果,1,000/μLだった。この結果,漏出性と滲出性の病態を識別するための細胞数基準値として使用できると考える。滲出性と漏出性の病態でのクロス集計の結果,滲出性について細胞数は特異度84.6%と高く,TP比は感度78.9%,LDは感度84.8%と高い結果から,感度・特異度の特性を用いて滲出性・漏出性の判断や炎症性疾患の治療効果に有用である。全病態を用いたpH 7.2のROC曲線から,AUC 0.919,Youden Indexは,好中球76.5%であり,血液ガス分析装置を用いたpH測定の代用に使用できる検査と考えられた。

  • 渡邉 鈴美香, 古澤 直美, 小林 晴美, 加藤 克幸, 安藤 善孝
    原稿種別: 原著
    2022 年 71 巻 2 号 p. 245-249
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    近年,がん治療の進歩は目覚しく,患者の予後は著しく向上した。しかし,その一方,生殖可能年齢層の悪性腫瘍の罹患率が増加し,がん治療によって生殖機能の低下もしくは喪失する医原性不妊患者のための妊孕性温存療法が増加している。妊孕性温存療法の胚凍結を行う際には,調節卵巣刺激を行う。ホルモン製剤を約2週間投与することで,通常1ヶ月に1個発育する卵胞を一度に複数個発育させる。この卵巣刺激法には通常法(GnRHアンタゴニスト法)とランダムスタート法がある。通常法では,月経開始3日目から卵巣刺激を開始しなければならない日程的制約があるのに対し,ランダムスタート法は,月経周期に関係なく卵巣刺激を開始することが可能である。今回は,この2種類の卵巣刺激法にてそれぞれ採取された胚の質に差が生じるのかを検証した。対象期間に妊孕性温存を目的に胚凍結(分割期胚)を行った17症例にて得られた胚を当院独自の胚グレード分類表を用いて4段階にグレード分類し,3と4を良好胚とした。卵巣刺激法ごとに,得られた全胚のうち良好胚の割合(良好胚率)を算出し,比較検討した。その結果,通常法で54.2%,ランダムスタート法で69.0%となり,Fisherの正確確率検定から有意差はみられなかった(p = 0.10)。以上より,卵巣刺激法の違いによる胚の質に差はないことが示され,ランダムスタート法は,迅速な治療開始が求められるがん患者において妊孕性温存療法を行う際に有用な卵巣刺激法であると示唆された。

  • 嘉瀬 文孝, 太田 智裕, 太田 宏樹, 青山 寿美香, 大内 和真, 星 晴彦, 飯田 泰明
    原稿種別: 原著
    2022 年 71 巻 2 号 p. 250-256
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    目的と方法:抗原定量検査(LUMIPULSE SARS-CoV-2 Ag)は,SARS-CoV-2の検査において無症候性患者のスクリーニング検査,および退院時の陰性確認検査として使用することが可能である。今回,我々はCOVID-19と診断された入院患者のうち,同時に2本の鼻咽頭ぬぐい液検体が採取された患者(n = 156)を対象に,抗原定量検査とRT-PCRを比較し,抗原量による陰性確認と感染力の推測について検討を行った。結果:抗原定量検査の陽性一致率は97.4%(111/114),陰性一致率は42.9%(18/42),全体一致率は82.7%(129/156)であった。陰性確認では,RT-PCR陰性に相当する抗原量のカットオフ値は8.82 pg/mLであった。感染力の推測では,Ct値35以上に相当する抗原量のカットオフ値は89.73 pg/mLであった。考察:COVID-19患者の陰性確認における抗原定量検査のカットオフ値は8.82 pg/mLであり,メーカーが推奨しているカットオフ値1.34 pg/mLよりも高い結果であった。そのため,COVID-19患者の陰性確認において,1.34 pg/mLをカットオフ値とした場合,抗原定量検査はRT-PCRと比較して陰性になるまで時間を要する可能性が示唆された。また,ウイルスの感染力の推測では,Ct値35以上に相当する抗原量のカットオフ値は89.73 pg/mLであった。抗原量による感染力の推測においては今後,ウイルス培養を含めたさらなる検討が必要であると考える。

  • 井上 裕行, 中山 奈月, 髙谷 美結, 仲北 友子, 木戸 良明, 佐藤 公俊, 前田 光一, 中村 文彦
    原稿種別: 原著
    2022 年 71 巻 2 号 p. 257-262
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー HTML

    目的:2021年7月に抗体カクテル薬,casirivimab-imdevimabの投与が本邦厚生労働省により特例承認された。今回,casirivimab-imdevimab投与による抗SARS-CoV-2抗体価の推移と臨床経過を検討した。方法:入院時酸素投与を要さない,重症化リスクを有するCOVID-19患者についてcasirivimab-imdevimab投与群と非投与群で抗ヌクレオカプシド蛋白抗体(抗N抗体)価および抗スパイク蛋白抗体(抗S抗体)価を測定し,臨床経過を比較した。結果:casirivimab-imdevimab投与群と非投与群の入院時患者背景に有意差は認められなかった。発症から抗S抗体陽転までの日数は非投与群では中央値12日に対して投与群では8日と有意に短縮していた。陽転時の抗S抗体価は投与群では中央値125 U/mLに対して非投与群では7.8 U/mLであり投与群で有意に高値であった。抗N抗体価の推移に両群間の有意差は認められなかった。発症から軽快までに要した日数は,非投与群では中央値14日に対して投与群では9日と有意に短縮していた。結語:casirivimab-imdevimab投与はSARS-CoV-2感染症の臨床経過を改善する可能性がある。また,casirivimab-imdevimab投与の効果判定には抗S抗体価の上昇の確認が有用である。

  • 福島 紘子, 大野 一彦, 市村 直也, 東田 修二
    原稿種別: 原著
    2022 年 71 巻 2 号 p. 263-269
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー HTML

    採血管に添加されている分離剤には一部薬物の吸着作用が知られている。今回,血中薬物濃度測定における各社採血管の影響度合いを比較した。採血管製造メーカー4社の分離剤入り採血管における経時的な薬物濃度の変動を確認したところ,測定した8種の薬物中3種で測定値の減少を認めた。採血管への添加量や保存条件が同じであるにも関わらず,減少の程度に差を認めたことから,影響を及ぼす要因の一つとして分離剤の材質の違いが考えられた。分離剤や薬物の脂溶性の違い等により,測定値の減少の程度に差を認めたことが推察された。使用する採血管と測定薬物の組み合わせを考慮の上,分離剤入り採血管を使用することで,採血や検体検査業務効率化を図ることができる。

技術論文
  • 岡本 愛, 谷口 裕美, 村上 晶子, 森本 麻里, 川野 由季, 西村 真智子, 宮本 仁志, 大澤 春彦
    原稿種別: 技術論文
    2022 年 71 巻 2 号 p. 270-276
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    Cancer Antigen 72-4(CA72-4)は,胃癌をはじめとする消化器癌,およびムチン性卵巣癌の患者モニタリングとして使用されてきた腫瘍マーカーである。今回我々はアボットジャパン合同会社より,2021年1月に新規発売されたARCHITECT® CA72-4(販売名:CA72-4・アボット)について基礎性能評価を行った。本試薬の基礎性能は同時再現性,日差再現性ともにCV5%未満と良好であった。希釈直線性については4.3 U/mLから155.0 U/mLまで良好であり,検体の安定性は4℃で28日間安定していることを確認した。同一患者同一測定日における血清および血漿の相関性はn = 102,相関係数r = 0.998,回帰式y = 0.971x + 0.009であり,検体種による差は認められなかった。また,患者血清における対照法(エクルーシス試薬® CA72-4:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)との相関性はn = 185,相関係数r = 0.989,回帰式y = 0.948x − 0.769であり,先行試薬と差異なく使用可能であったが,いくつかの乖離例も存在するため測定試薬が異なる場合の値の解釈には注意が必要である。

  • 宮下 大地, 永井 夏海, 佐藤 美翔, 神山 恵多, 中嶋 清美, 村上 正巳
    原稿種別: 技術論文
    2022 年 71 巻 2 号 p. 277-283
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー HTML

    キャピラリー電気泳動法を用いたHbA1c分析装置The Lab 001(アークレイ株式会社)の基礎的検討を行った。併行精度,室内間精度,正確性は良好な結果が得られた。HPLC法との相関性も良好で相関係数(r)は0.996であった。また,The Lab 001は,変異Hbの検出において,各主要変異Hbの分離・検出が可能であることが示された。さらに,HbFの影響も回避した正確なHbA1cが得られることから臨床的に十分な性能を持つと思われる。

  • 牧野 由紀子, 平井 愼二, 小柳 一洋, 山崎 正明
    原稿種別: 技術論文
    2022 年 71 巻 2 号 p. 284-287
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー HTML

    覚醒剤乱用者の治療の一環として,再乱用防止を目的に,下総精神医療センターでは外来及び入院患者の尿中薬物検査を尿中簡易薬物検査キットで行っている。本研究では,キットでのスクリーニング検査後の残尿を利用し,メタンフェタミンとその代謝物アンフェタミンの存在比を液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)で,検討したところ,日を追うごとに存在比(ピーク面積比較)は摂取時期と一次相関を持って上昇した。限られた患者での検討であるが,日本人覚醒剤使用者の尿中メタンフェタミンとその代謝物アンフェタミンの存在比を把握することで,摂取時期との関連をある程度推定できることを見出した。

  • 及川 真依, 近藤 崇, 中振 大貴, 盛合 亮介, 鳴海 菜月, 遠藤 明美, 淺沼 康一, 髙橋 聡
    原稿種別: 技術論文
    2022 年 71 巻 2 号 p. 288-293
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    凝固検査は自動分析装置による測定が普及しているが,原理の異なる多項目の測定を行うことで,検体処理能力が低下することがあった。この点を改善するために,原理ごとに測定部を独立させた全自動血液凝固検査システム「STACIA CN10」が開発されたので,検体処理能力を評価した。凝固検査項目を不作為に依頼した50検体の測定時間は,STACIA CN10で62分58秒と対照機器CS-5100の82分59秒に比べ,約20分短かった。一方,1検体当たりの測定時間は,CS-5100よりも平均で約3分30秒長かった。そこで,検体のサンプリング間隔を調べたところ,CS-5100と比較し平均で30秒短縮していた。これらの結果より,STACIA CN10は,測定部の独立によりサンプリング間隔を短縮させ,連続した多項目測定においても処理能力の低下が起こらないと考えられた。STACIA CN10は,CS-5100より検体処理能力が向上しており,緊急検査や診療前検査を含む日常検査に有用であると考えられた。

資料
  • 西本 絵里奈, 小野原 健一, 和田 保乃花, 岡﨑 真優, 辻 優真, 小倉 眞紀, 野田 智恵子, 春名 能通
    原稿種別: 資料
    2022 年 71 巻 2 号 p. 294-300
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)において,polymerase chain reaction(PCR)検査は確定診断に用いられている。当院では2020年4月から順次,定期検査用としてAmpdirectTM2019-nCoV検出キット(Ampdirect法)を,緊急検査用としてGeneXpert Xpress SARS-CoV-2「セフィエド」(GeneXpert法)およびFilmArray呼吸器パネル2.1(FilmArray法)を導入した。各検査法の検出率について,導入から同年12月までにGeneXpert法で測定した161検体およびFilmArray法で測定した493検体を対象とし,Ampdirect法と比較した。検出率は発症10日以内ではいずれも90%以上となった。また同年7月から12月までに測定した8,416検体をCOVID-19患者対応診療科(COVID-19診療科)とその他の一般診療科に分け,検査実績を評価した。陽性率(定期検査/緊急検査)はCOVID-19診療科で11.6%/29.9%,一般診療科で0.13%/3.50%となった。緊急検査の陽性率は定期検査よりも高く,陽性時の迅速な結果判明は入院や転院の判断,感染拡大防止の一助となった。また検査法を使い分けることにより,感染拡大に伴う検査件数の急増に対応することができた。COVID-19流行下における検査体制について,複数のSARS-CoV-2核酸検出キットをそれぞれの特徴を活かして運用することは大変有用であると考えられた。

  • 古川 聡子, 河口 豊, 通山 薫
    原稿種別: 資料
    2022 年 71 巻 2 号 p. 301-306
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー HTML

    生活習慣病の増加に伴い,非アルコール性脂肪肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease; NAFLD),非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis; NASH)の患者は増加しており,肝細胞癌や肝硬変の主な原因となりつつある。NAFLD/NASHは肥満,インスリン抵抗性など2型糖尿病と共通リスク因子をもつため,2型糖尿病との合併率が高いとされる。今回,2型糖尿病患者を対象に,M2BPGiの測定データから肝線維化の状況ならびに,その影響因子について検討した。また,既存の肝線維化スコアリングシステムであるFIB-4 indexとの比較も行った。2型糖尿病患者全対象者のM2BPGi値は0.22~4.11 C.O.Iの範囲となり,中央値は0.815 C.O.Iであった。カットオフを1.0とした場合の陽性率は38.2%であった。M2BPGi値に対する影響因子を検証するため,M2BPGi値を目的変数とし,説明変数に生化学検査,血算,HbA1c,年齢,BMIを用い,重回帰分析を行った。結果,AST高値,高齢,アルブミン低値,トリグリセライド高値がM2BPGi高値の因子として有意であった。FIB-4 indexとの相関性は極端値除外処理後の169例で相関係数(r)を求めたころ,r = 0.449であった。M2BPGiとFIB-4 indexの判定一致率は53.5%(陽性53例,陰性38例)となり,不一致例はM2BPGi(−)でFIB-4 index(+)が66例,M2BPGi(+)でFIB-4 index(−)が12例であった。2型糖尿病患者については,FIB-4 index陰性例であってもM2BPGiを測定することで,肝線維化症例の見落としを防ぐことが期待される。

  • 岩﨑 早耶, 鈴木 千代子, 尾方 美幸, 井手口 武史, 佐伯 裕二, 岡山 昭彦
    原稿種別: 資料
    2022 年 71 巻 2 号 p. 307-312
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー HTML

    たこつぼ症候群の急性期では,心電図変化が急性冠動脈症候群に類似しており,鑑別のためには冠動脈造影が必要である。今回,我々は冠動脈造影検査でたこつぼ症候群と診断された1例を経験した。生化学検査における心筋逸脱酵素およびトロポニンTの軽度上昇,経胸壁心エコー図検査における心尖部側の全周性壁運動低下および基部の過収縮,左室駆出率の低下の所見であった。また,心電図検査の経時的特徴について検討したところ初期のミラー現象を伴わない広汎な胸部誘導でのST上昇と,ST回復時のT波の陰性化が認められた。冠動脈造影ができない場合,生化学検査や経胸壁心エコー図検査とともに心電図検査の経時的な変化の経過観察がたこつぼ症候群の診断に有用であると考えられた。

  • 蓮見 悠
    原稿種別: 資料
    2022 年 71 巻 2 号 p. 313-317
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    今日,磁気共鳴断層画像診断装置の発達により磁気共鳴胆管膵管撮像(magnetic resonance cholangiopancreatography; MRCP)は胆管膵管像を高分解能で描出することが可能になり,更に低侵襲であることからその臨床的意義は非常に大きなものとなった。MRCPの原理はT2強調画像により,T2値が長い水を対象として撮像を行うhydrographyを基本とした方法である。つまり,膵管や胆管が描出されるためにはT2値が長い物質が存在している必要があるため,日内変動による膵液量の多寡により膵管の描出度合いが異なることが考えられる。膵液の日内変動に関しては若杉らにより1987年に食事を摂取しない際も膵液量の分泌リズムが存在することが報告されているため,今回は膵液の日内変動によるMRCPへの影響に関して検討を行った。具体的には,若杉らの報告に基づき,膵液が比較的分泌される朝6時から8時の間,最も分泌が亢進する12時から14時の間,そして最も分泌量が低下する18時から22時の3つの時間帯の間で健常人ボランティアに協力を得てMRCP撮像を行い,膵管の視覚的評価及び,信号値の測定にて評価を行った。その結果,若杉らにより報告されたヒト純粋膵液分泌のサーカディアンリズムに関する報告と,MRCP撮像における膵管の描出能の変化に関連性は見られなかった。

  • 小河 純, 山内 康照, 木下 朋幸, 熊谷 正純, 熊谷 二朗
    原稿種別: 資料
    2022 年 71 巻 2 号 p. 318-323
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    【はじめに】不整脈治療としてのカテーテルアブレーション(CA)の合併症の1つに心嚢水貯留がある。外来やCA後に心嚢水の有無を確認することは多くの施設で行われているが,CA直前に確認している施設は多くはない。今回我々は,CA直前に心嚢水の確認を行うことの有用性を検討したので報告する。【対象と方法】対象は2019年4月から9月にCAを施行した連続327例(平均年齢64.0歳,男性230名)。CA直前と直後に経胸壁心エコーにて心嚢水の有無を確認した。術後に心嚢水を認めた48例を,CAの前後で心嚢水の量が変化しなかった群(変化なし群)24例と新規に心嚢水を認めた群(新規貯留群)24例に分類し,血圧低下,ICUへの転棟,心嚢穿刺の有無,入院の延期といったイベントの発生について,Χ2独立性の検定を用いて検討した。【結果】イベントの発生件数(イベント内容の重複あり)は,変化なし群が3例(血圧低下3例,ICU転棟2例,穿刺0例,入院延期0例),新規貯留群が10例(血圧低下5例,ICU転棟8例,穿刺3例,入院延期8例)で,新規貯留群が有意に高値を認めた(p < 0.05)。【考察】心嚢水の貯留に関しては少量でも血圧低下などにつながることがある。しかし,直前に確認をしておかないと,CAによって貯留した心嚢水かはわからない。CA直前に心嚢水の有無を確認しておくことで,術中や術後の血圧低下などの原因が,CAによる心嚢水貯留であるかの鑑別に有用であると考えられる。

  • 森山 保則, 杉原 崇大, 森岡 薫乃, 多和 拓未, 田原 綾, 土手内 靖, 高橋 志津
    原稿種別: 資料
    2022 年 71 巻 2 号 p. 324-329
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    メソトレキセート(MTX)は関節リウマチ治療のキードラッグであるが,時に形態異常を伴った造血障害を引き起こし,MDSとの鑑別が困難なことがある。本来ならこの時期に骨髄検査を行うべきではないが,実際には時折検体が提出される。しかしどの程度の形態異常が出現するのか詳細な文献は少ないため,MTX使用患者12例の骨髄細胞形態を解析した。その結果,7例に1系統以上の形態異常を認め,うち3例には環状鉄芽球が10%以上みられた。仮にMTXの使用歴が不明な場合,MDSと診断される危険性があるため,診断時には影響薬剤使用の有無を詳細に検索する必要がある。

  • 近藤 宏皓, 桝谷 亮太, 森田 一馬, 久保田 芽里, 大坂 直文
    原稿種別: 資料
    2022 年 71 巻 2 号 p. 330-334
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time; APTT)は日常診療で測定される項目であり,APTTを含む凝固検査は採血や遠心分離条件などが影響することが知られている。そのため,日本検査血液学会標準化委員会凝固検査用サンプル取扱い標準化ワーキンググループが提唱する“凝固検査検体取扱いに関するコンセンサス”に準じて検査を行うことが推奨されている。今回我々が経験した事例ではAPTTの延長が連続しており,ほとんどの患者に抗凝固療法やAPTTの延長を来す病態を確認できなかった。また,試薬や機器に異常は認められず,検体の取り扱いもコンセンサスに準じていることから,さらに検証を進めたところ採血管不良の可能性が考えられた。そこで,異なるロットの採血管で測定したところ本現象を認めなかったため,APTT延長の原因が採血管であると特定できた。後日メーカーから,製造工程での人為的ミスにより,クエン酸濃度が通常の2倍以上の採血管が製造されていたとの回答が得られた。本事例を経験して,APTTの延長が連続した場合,試薬や機器の異常だけでなく,凝固線溶検査に影響を与える要因として,予期しない採血管不良も可能性の一つとして考慮する必要があるという教訓を得た。また,日常から凝固検査検体取扱いに関するコンセンサスの遵守を徹底しておくことで,原因不明の異常値に遭遇した場合の早期解決につながると思われた。

  • 山本 肇, 佐藤 愛実, 齋川 健志, 彌勒 清可, 関本 正泰, 二本栁 洋志, 石幡 哲也, 高田 直樹
    原稿種別: 資料
    2022 年 71 巻 2 号 p. 335-341
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査として汎用される抗原定性検査は,簡便かつ安価に検査可能であることから広く用いられる一方,核酸増幅検査との不一致例も報告されるが頻度や症例に関する詳細な報告が少ない。検査法による診断性能の違いを明らかにするため,SARS-CoV-2抗原定性検査キット「クイックナビTM-COVID19 Ag」と核酸増幅検査の結果を後ろ向きに比較検討した。同時提出された2,721件を対象に,両者を比較したところ,全体一致率99.3%が得られた。抗原定性検査陰性,核酸増幅検査陽性となった症例を13例認めた。多くの症例でCt値が高い傾向を示しており,ウイルス量が少ないことで抗原定性検査の検出感度を下回り,核酸増幅検査との結果が一致しなかった可能性が考えられる。一方,抗原定性検査陽性,核酸増幅検査陰性となった症例を7例認めた。いずれも,COVID-19は否定され,抗原定性検査偽陽性の判断であったが,全症例で偽陽性の原因の特定に至らなかった。以上のことから,「クイックナビTM-COVID19 Ag」はSARS-CoV-2抗原定性検査として十分な性能を有していることが明らかとなった。一方でイムノクロマト法として偽陰性や偽陽性を避けることはできないため,利用者は検査法の特性について十分に留意したうえで使用することが求められる。

  • 大栗 聖由, 上原 一剛, 池亀 彰茂, 小河 佳織, 樋本 尚志, 前垣 義弘, 吉岡 伸一
    原稿種別: 資料
    2022 年 71 巻 2 号 p. 342-348
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    本研究では,鳥取県の一般診療所における生理機能検査を担当する臨床検査技師(以下,検査技師)の実態調査と将来の検査技師雇用についてアンケート調査を行い,一般診療所における検査技師の現状を明らかにすることを目的とした。アンケート調査票を鳥取県に所属する421施設の一般診療所に送付した。アンケート内容は雇用状況,生理機能検査の担当職種,実施項目,実施項目ごとの月平均検査件数,将来検査技師の雇用予定について質問した。返信があった115施設中,生理機能検査実施施設は102施設存在した。そのうち,8施設(7.8%)で検査技師が生理機能検査を担当していた。検査技師雇用施設での超音波検査における月平均検査数は,検査技師雇用のない施設と比較し有意に多かった(p < 0.001)。また,超音波や脳波,そして筋電図検査件数が多いほど,検査技師が雇用されている傾向であった。調査項目と技師の雇用状況を視覚的に解析できるコレスポンデンス解析を行い,検査技師雇用を検討している施設では,PSG検査件数が多い傾向であった。一般診療所での生理機能検査を生業とする検査技師の必要性が高まれば,医療の質や量について地域格差が示されている今日,生理機能検査の質と量を担保することに貢献できるのではないかと考えられた。

  • 北川 文彦, 西井 智香子, 岩井 由香利, 伊藤 里美, 藤田 孝, 畑 忠善, 鈴木 克侍, 守瀬 善一
    原稿種別: 資料
    2022 年 71 巻 2 号 p. 349-355
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    新型コロナウイルス感染症に係るワクチン(新型コロナウイルスワクチン)は新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019; COVID-19)の発症予防と,重症化の予防に有用であることが報告されている。2021年4月,厚生労働省より,歯科医師によるワクチン接種のための筋肉内注射について医師法第17条との関係では違法性が阻却されることが通達され,同年6月には臨床検査技師および救急救命士についても行政が認めた大規模接種会場における新型コロナウイルスワクチン接種のための筋肉内注射が特例として認められた。藤田医科大学岡崎医療センターでは12名の臨床検査技師が指定研修を修了し,大規模接種会場における新型コロナウイルスワクチン接種のための筋肉内注射を行っている。臨床検査技師が接種を行うにあたり,岡崎市医師会からの承認と,院内での周知を行い,看護部とスケジュールを共有し実施した。院内におけるCOVID-19関連業務は多数あり,多くの部署が関与し対応している。各医療機関においても,COVID-19患者の対応に追われ,またその対応が長期化することで,各部門における負担が蓄積している。そこで,チームとして対応するCOVID-19関連業務の一つとして臨床検査部が行った大規模接種会場における新型コロナウイルスワクチン接種者としての取り組みを報告する。

症例報告
  • 神月 梓, 原田 博史, 龍 あゆみ, 棚田 諭, 井戸田 篤, 山﨑 知行, 中塚 伸一, 本間 圭一郎
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 71 巻 2 号 p. 356-361
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー HTML

    背景:腺様嚢胞癌は緩慢な発育と長い臨床経過を特徴とするが,脱分化を伴う腺様嚢胞癌は急激な経過を辿り,その予後は低悪性や高悪性症例と比較して不良である。今回,当院で経験した頭頸部脱分化型腺様嚢胞癌4例について報告する。症例:患者は38~78歳の男女で,組織診材料では低悪性成分と著しい異型や多形性,壊死を伴う高悪性成分が混在しながら単一の病変を形成する像を認め,広範な壊死を伴う大型の充実性胞巣が多く認められた。腫瘍の大半を低分化ないし未分化な成分が置換していたため,細胞診材料のほとんどは高悪性成分が観察され,腺様嚢胞癌の特徴的所見に乏しかった。今回,細胞像を再検討した結果,篩状構造や管状構造を示す部分が認められた。他の高悪性の癌腫との鑑別が問題になった場合は,このような所見を丁寧に観察することが重要であると考えられた。また,高悪性症例と脱分化症例の鑑別に細胞診材料が役立つと報告されている。今回の4例でも異型や多形性の度合い,核腫大,明瞭な核小体,狭小~中等量の細胞質などの細胞所見は文献に合致していた。細胞診材料が腫瘍の部分像である点に注意を要するが,このような差異を認識することは重要であると考えられた。結語:高悪性成分の存在を細胞診で指摘することは,後日の組織検体の検索において診断上有益な情報を与え,かつ病理医が脱分化成分を明確に認識する意味でも細胞診の果たす役割は大きい。

  • 屋良 朝仁, 葉山 裕真, 廣井 透雄, 川口 港, 小関 満
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 71 巻 2 号 p. 362-368
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー HTML

    COVID-19において,心筋傷害や血栓塞栓症などの心血管合併症を有する症例が問題となっている。しかしながら,本邦では急性期と回復期における心機能評価に関する報告はまだない。今回我々は,COVID-19で入院となった患者のうち急性期と回復期に心エコー図検査を施行できた中等症患者4症例に対し,血液検査としてhsTnT,hsTnI,D-dimer,IL-6の比較を実施した。4症例ともに循環器・呼吸器疾患既往はなく,4症例すべてでLVEFは正常範囲内であったが,急性期と回復期の比較においては,4症例ともに回復期でLVGLS,RVFAC,TAPSEの低下を認め,うち3症例ではLVEF,RVGLS,RVFWLSも低下を認めた。D-dimerは,2症例で僅かな上昇,うち1症例で陽性が持続した。急性期のhsTnTは,4症例ともに基準値内ではあったが,3症例で微量検出し,IL-6は2症例で異常高値を認めた。回復期に,3症例ではLVEFは低下していたものの,4症例すべてで正常範囲内に保たれており,肺炎像や呼吸苦などの症状も消失していたが,詳細な左室機能と右室機能はともに低下を認めた。このことから,急性期とともに回復期以降も定期的な左室機能および右室機能のフォローが必要である可能性が示唆された。

  • 畑中 公基, 鈴木 里和, 稲嶺 由羽, 木戸 裕勝, 佐川 美恵, 吉川 誠一, 小野 伸高, 土屋 貴男
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 71 巻 2 号 p. 369-374
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    Daptomycin(DAP)はmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)感染症治療薬であり,DAP非感性MRSAの分離は稀である。今回,治療中にDAP非感性化し,抗菌薬の変更を必要としたMRSA感染症の症例を経験した。症例は60代男性。肝門部胆管癌術後,第61病日にMRSAによる中心静脈カテーテル感染症に対しvancomycinを投与開始するも改善が認められず,第66病日よりDAPに変更した。その後解熱傾向を認めたが,第83病日の血液培養から再度MRSAが検出されDAP非感性であった。さらに経過中出現した腰痛に対しMRIおよびCTを実施したところ,化膿性脊椎炎と診断された。第91病日よりlinezolidに変更,rifampicinも追加したところ,炎症所見改善と血液培養の陰性化を確認,第110病日に退院となった。本症例の治療初期に分離されたMRSAはDAP感性であったことからDAPによる治療中に非感性化したと考えられた。MRSAはmprFの変異によりDAP非感性化することが報告されており,今回分離されたDAP非感性MRSAもmprFの変異を認めた。長期にわたる抗菌薬投与が必要な場合は薬剤感受性試験を継続して行うべきであり,かつ画像診断も含めてその効果を総合的に判断することが重要であると考えられた。

  • 村越 大輝, 大石 祐, 久住 裕俊, 平松 直樹
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 71 巻 2 号 p. 375-380
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー HTML

    糖尿病合併妊婦における血糖管理は母児合併症予防のために重要であり,妊娠中の血糖管理目標は厳格な基準が設けられているが,1型糖尿病合併妊婦では重症低血糖などの不安定な血糖変動を示すことが多く問題となりやすい。SAPは,CSIIとCGMを合わせたデバイスで,2018年4月より低血糖時に基礎インスリン注入を停止させるLGS機能が搭載された。当院ではSAP導入・継続指導を臨床検査技師が担当しており,今回,妊娠前よりSAPを使用し血糖管理を行った症例を経験した。症例は30歳代で1型糖尿病を発症,MDIにてHbA1c 9%前後とコントロール不良だったが,挙児希望がありSAPを導入した。SAP導入から半年後にLGS機能付きのSAPに切り替え,その1ヶ月後に妊娠した。SAP導入後からHbA1cは徐々に低下し,妊娠時は6.3%であった。また妊娠中に測定していたGA%は経時的に低下し,出産時は15.1%であった。妊娠前の低血糖頻度の平均は23.3回/月だったが,妊娠中の低血糖頻度の平均は9.9回/月であった。第37週3日に母児合併症無く,3,292 gの児を出産した。本症例では継続指導によりSAPを有効に使用することができ,妊娠直前にLGS機能付きSAPに切り替えたことにより,妊娠中の低血糖が大幅に減り,厳格な血糖管理を達成できた。適切な指導のもとSAPを用いることで母児合併症のリスク軽減に期待ができる。

検討
  • 杉浦 慎, 早川 敏, 藤田 孝
    原稿種別: 検討
    2022 年 71 巻 2 号 p. 381-385
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/04/25
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    採血では,採取が容易な患者から困難な患者など様々である。標準採血ガイドラインによると駆血後に手を握ることが推奨されているが,実際の採血業務に当たり,採血時の駆血条件が異なることが多々ある。採血時の駆血条件を集計分析することにより,推奨法の遵守率や駆血条件の統一化,採血の効率向上に繋げられるかを検討した。対象は,採血を行った患者1,353名(男性591名,女性762名,平均年齢60.0歳)とした。駆血条件は,標準採血ガイドラインに則した採血手順より考えられた7つの条件を設定した。患者には何も告げず採血時に腕を出してもらい,採血時に設定した条件を観察し集計を行った。推奨法での駆血条件が全体の54%,次いで手を握った状態からの駆血条件が27%,手を握らずに採血を実施した条件が19%となった。また,手を握った状態から再度手を開かせ手を握り駆血することで全体の5%の患者に血管の怒張が認められた。今回の検討により全体の36%の患者において推奨法とは異なる方法での採血が実施されていた。推奨法の遵守は,患者の自然な仕草によって起こる採血困難事象を回避させることも明らかとなった。推奨法の遵守率の更なる向上は,円滑な採血を患者に提供できると考えられた。

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