論文ID: 24J1-11
3群もしくはそれ以上の群のグローバル(一括)検定において,データが正規分布で等分散あれば一元配置分散分析(ANOVA),正規分布でなければKruskal-Wallis検定が用いられる。ANOVAでは全体の変動を群間変動(要因変動)と郡内変動(誤差変動)に分けて分散の比に続けて,F検定を行う。Kruskal-Wallis検定では,順位データを用いてH統計量を求め,(カテゴリ数 − 1)のカイ二乗分布に従うという性質を用いて要因間に差があるかどうかを調べる。ANOVAでもKruskal-Wallis検定でも検定の結果が有意となった場合,少なくとも1組の代表値が異なることを意味する。どの群間に差があるかを調べる場合,有意差がないのに有意差ありと判断するαエラー(第1種の過誤)を増やしてしまうため,2群比較の手法を何度も行うことはできず,αエラーを調整した多重比較で行わなければならない。また,共分散分析は,分散分析と共変量を組み合わせた手法である。共分散分析では,先ず交互作用の有無を確認する。交互作用を認める場合,層別解析が必要である。交互作用がなければ回帰直線の傾きがゼロでないことを確認したのち,水準間の分散分析,多重比較および各水準における母平均の区間推定を行う。これらの手法は研究で用いることも多く,研究者の理解と判断に基づいて適切に行われる必要がある。