日本看護管理学会誌
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原著
急性期病院における看護実践能力尺度の開発
真下 綾子中谷 喜美子陣田 泰子市川 幾恵佐藤 久美子高橋 恵子大水 美名子坂本 すが菅田 勝也
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2011 年 15 巻 1 号 p. 5-16

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抄録

Ⅰ.目的

急性期病院において,新人からベテランまでの看護職を対象にした看護実践能力尺度を開発する.

Ⅱ.方法

対象施設は機縁法にて抽出した首都圏にある急性期医療機関とし,対象者は,自分自身の看護実践能力を「自己評価」する看護職員スタッフと,割り当てられた看護職員スタッフの看護実践能力を「他者評価」するチームリーダー,主任とした.2007 年12 月に予備調査,2008 年1月に本調査を行った.分析は,まず自己評価および他者評価について項目分析を行い,次いで自己評価・他者評価間で級内相関係数を求め一致性を確認した.そして因子分析(最尤法,固有値1以上,プロマックス回転)により看護実践能力尺度の構成因子の妥当性を検討した.

Ⅲ.結果

看護職員スタッフに対して他者評価のある回答者,1023 名を分析対象とした.項目分析では,自己評価,他者評価の各質問項目では天井効果,フロア効果はなかったが,すべての項目で自己評価より他者評価の方が高い点数であった.さらに,自己評価と他者評価の級内相関係数は十分な一致性を示さなかったため,看護実践能力の尺度開発は自己評価のデータのみを用いて行うこととした.因子分析結果から,「患者の状況に合わせた基本的看護ケア」,「医療依存度の高い患者への看護ケア」「患者の個別性にあわせた看護過程の展開」「チームの一員としての役割遂行」「患者の安全を守る看護ケア」の5 つの因子と計47 の下位項目からなる看護実践能力尺度が開発された.

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© 2011 一般社団法人 日本看護管理学会
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