2012 年 16 巻 2 号 p. 130-138
本研究の目的は,入職早期の新卒看護師への看護師長の関わりを明らかにすることである.研究対象者は,施設規模が300床以上で新卒看護師の支援システムを導入している4病院の看護師長である.同意の得られた看護師長は12名で,全員女性,平均年齢49.6歳,看護師長平均経験年数6.9年,全員が病棟に所属していた.研究方法は,半構成的面接法を用いた質的記述的研究である.逐語録をデータとして切片化して,適切に表現できる簡素なラベル化にしてからカテゴリー化した.その結果,看護師長は,常に新卒看護師の職場適応,人間関係,患者対応や看護技術修得状況を気にかけて,仕事へのやる気を保つように様々な関わりをしていた.入職早期の新卒看護師への看護師長の関わりとして【職場適応への気配り】【患者との対応の把握】【看護技術指導への間接的な関わり】【仕事へのやる気を保つ】の4つのカテゴリーが抽出された.新卒看護師には,プリセプターなどが直接的に関わることが多いが,看護師長は,入職早期の新卒看護師を職場環境,人間関係や看護技術の修得に関して総合的に支えている存在であることが確認された.また看護師長は,入職早期の新卒看護師が看護へのやりがいや喜びを感じ,自信が持てるように関わることが重要であることが示唆された.