日本看護管理学会誌
Online ISSN : 2189-6852
Print ISSN : 1347-0140
ISSN-L : 1347-0140
原著
日本語版精神的エンパワメント尺度の信頼性・妥当性の検証
渡辺 真弓金井Pak 雅子
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 23 巻 1 号 p. 50-60

詳細
抄録

職場におけるエンパワメントの総合的な把握には,構造的エンパワメントと精神的エンパワメントの2つを理解する必要がある.精神的エンパワメントとは,仕事の際に直面する出来事や状況に対応する能力に対する,従業員自身の認識である.本研究は,日本語版精神的エンパワメント尺度を作成することを目的に,Spreitzer(1995)が開発したPsychological Empowerment scaleの日本語版の内的整合性・構造的/収束的妥当性の検証を行った.7病院,3介護老人保健施設に勤務する1615人の看護職に質問紙を配布し,日本語版精神的エンパワメント尺度に欠損のない865の回答を使用して分析を行った.日本語版精神的エンパワメント尺度の合計得点,及び4つの下位尺度のCronbach’s α係数は0.82-0.90と全て0.80以上であった.探索的因子分析の結果,日本語版精神的エンパワメント尺度は3因子あるいは4因子構造を持つことが示唆されたが,確認的因子分析の結果では原版通りの4因子構造の方が適合が高いという結果であった.ただし,この4因子モデルは適合度が低かったため修正指標を用いて修正4因子モデルを作成した.修正4因子モデルは,RMSEA=0.08,CFI=0.96,TLI=0.94であった.The Conditions of Work Effectiveness Questionnaire II尺度と日本語版精神的エンパワメント尺度合計得点及び4つの下位尺度との相関係数は,それぞれ0.39,0.20-0.40(p<0.01)であった.日本語版精神的エンパワメント尺度は,高い内的整合性と一定の構造的/収束的妥当性を持つことが示された.従って,日本語版精神的エンパワメント尺度は日本の看護職の精神的エンパワメントの計測に使用できるといえる.

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本看護管理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top