2019 年 23 巻 1 号 p. 71-81
目的:入院患者の看護師に対する怒りの過程と特徴を明らかにすることである.
方法:研究デザインは,複数ケーススタディ・リサーチである.まず先行研究をもとに,入院患者の看護師に対する怒りの喚起と処理過程に関するモデルを作成した.次に一般病院に入院中看護師に対して怒りを感じた体験のある者9名に,1人当たり約1時間の半構成的面接を2~3回行った.
結果:入院患者は,看護師の対応に対し【説明不足】【羞恥心への配慮不足】【気持ちや状況に対する配慮不足】【看護師間の情報共有の不手際】【経済的な損失】【生命にかかわる危機】【言動の軽視】【尊厳の軽視】などの被害を受けたと認知し,さらに発生した出来事に対する看護師の責任性を評価し怒りを喚起させる.喚起された怒りは,即時的認知処理と熟慮的認知処理という2つの認知処理が関わり,怒りの表出の有無と表出方法が選択される.熟慮的認知処理では,【怒り表出の正当性】【表出後の結果予測】【不快体験に対する看護師の気づき】が考慮され,【直接的攻撃行動】【間接的攻撃行動】【攻撃転化行動】【非攻撃的行動】として表出される場合と,表出が抑制される【非行動化】が選択される場合がある.そして,最初に選択した行動によって怒りが終息しない場合には,第2選択行動がとられることが示された.