目的:本研究の目的は,東日本大震災と熊本地震の際に,災害急性期に病棟運営を担った看護師長の行動を明らかにし,大地震発生時の災害急性期における病棟運営に対する看護師長の行動マニュアルの開発に向けた具体的な示唆を得ることである.
方法:研究参加者は,東日本大震災と熊本地震の際に被災地の災害拠点病院に勤務し,災害急性期に病棟運営の経験を持つ看護師長20名で,データ収集は半構造的面接法で行い,得られたデータを質的帰納的に分析した.
結果:大地震発生時の災害急性期に病棟運営を担った看護師長の行動として【生命を守る安全確保】【関係者の安否確認】【災害対策本部との連携】【多くの被災傷病者に対する療養の場の提供】【被災により不安を抱える患者・家族・職員への支援】【暫定的勤務体制の整備】【看護師の心身の健康管理】の7カテゴリーが導き出された.
考察・結論:大地震発生時の災害急性期における【生命を守る安全確保】は,激しい揺れの直後の危険への回避と,余震が続く中で変化する状況への対応という2つの視点で捉えることが必要であり,【暫定的勤務体制の整備】により病棟を管理する上で,【看護師の心身の健康管理】の重要性が示された.