2021 年 25 巻 1 号 p. 34-45
目的:非管理職中高年看護師のワーク・エンゲイジメントと看護実践能力及びその関連と影響要因を明らかにする.
方法:自記式質問紙による郵送調査.病棟に勤務する40歳以上の看護師を対象とした.調査内容は,ワーク・エンゲイジメントを「日本語版ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度短縮版(以下,UWES-J)」を用い,看護実践能力を「看護実践の卓越性自己評価尺度―病棟看護師用―(以下,NES)」を用いた.また,先行研究に基づいた影響要因を設定した.分析はIBM SPSS Statistics ver.24を用いた.
結果:全国39病院の調査協力を得て,1,691名に調査票を配布し892名の回答を得た(回収率52.7%).有効回答数は869名であった(有効回答率97.4%).「UWES-J」の平均値は非管理職2.61点(SD=1.2),管理職3.11点(SD=1.1)であり,「NES」の平均値は非管理職120.6点(SD=19.9),管理職127.0点(SD=19.8)であった.非管理職の「UWES-J」得点と「NES」得点は管理職より有意に低かった(p<.01).また,「UWES-J」と「NES」には比較的強い相関があった(非管理職 r=.466, p<.01,管理職 r=.400, p<.01).非管理職の「UWES-J」と「NES」には「成長の実感」が影響を与えていた.
考察:成長を実感できるような支援の強化が非管理職中高年看護師のワーク・エンゲイジメントを高め,高い看護実践能力の発揮につながる可能性が示唆された.