日本看護管理学会誌
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実践報告
「コンピテンシーを基盤とした看護管理者研修」受講者がコンピテンシーの概念を職場で活用する上での困難と活用に向けた支援ニーズ
相澤 恵子國江 慶子深堀 浩樹谷口 陽子保科 英子丸山 美津子庄子 由美小玉 淑巨西田 和美奥 裕美
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2023 年 27 巻 1 号 p. 237-246

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抄録

本調査の目的は,日本看護管理学会教育委員会が主催している「コンピテンシーを基盤とした看護管理者研修」を受講した看護管理者がコンピテンシーの概念をそれぞれの職場で活用する上で感じている困難や,看護管理者による活用に向けた支援ニーズを明らかにすることである.2019年7月から2022年2月の間に日本看護管理学会が主催するコンピテンシー研修を受講した看護管理者を対象にしてアンケート調査を実施し,49人から回答を得た(回答率25.8%).看護管理能力・実践力向上に向けてコンピテンシーの概念を組織において導入し,運用を開始している者は17人(34.7%)であった.多くの対象者が感じていた困難は「コンピテンシー研修の企画・運営」31人(63.3%),「研修受講生のコンピテンシーの概念の理解」27人(55.1%),「コンピテンシー研修後の実際の活用」25人(51.0%)であった.ニーズが高いと考察された支援は,コンピテンシーの概念を組織に導入するためのチームづくりや研修の円滑な運営に向けた資料及び学習機会の提供,コンピテンシーの概念についての学習を容易にするための教材の提供,ファシリテータースキルを高めるための学習機会の提供,受講修了者同士が交流し相談しあう機会の提供であった.これらの知見は,看護管理者がコンピテンシーの概念を組織に導入して活用する際の困難を解決するための一助になる可能性がある.

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© 2023 一般社団法人 日本看護管理学会
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