抄録
千葉県では平成26年度より,県内の強度行動障害者支援の体制を整えるために,民間施設の職員を対象として,標準的支援の支援現場への実装を目的とした人材養成研修を実施している.本研修は,受講者16名を年間 30 日以上かけて集中的に育成する.受講者が体系的かつ具体的に学び,実践できるように,講義,見学,模擬場面での実習を経て,施設でのモデル事例検討に取り組む研修構成になっている.モデル事例検討では,アセスメントと記録に基づく仮説検証型の PDCA サイクルを,繰り返し行った.その結果,研修の効果として,受講者の支援方法に関する知識の向上,自己評価の向上,実行できる支援手法のレパートリーの拡大がみられた.また,多くのモデル事例対象者の行動問題に改善がみられた.強度行動障害者への標準的支援が,現場で実行されるための条件として,本研修の構成要素をもつ人材育成が有効であることが示された.