日本看護管理学会誌
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原著
集中治療室における身体拘束適正実践のための標準手順の開発
―デルファイ法による内容妥当性の検討―
桑原 美弥子飯島 佐知子
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 27 巻 1 号 p. 71-81

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抄録

身体拘束を必要最小限に抑えるための具体的な手順については十分に明らかになっていない.本研究の目的は集中治療室において患者の安全と人権を保障するために身体拘束適正実践を推進する標準手順を開発し,内容妥当性を検討することであった.全国の急性・重症患者看護専門看護師157名を対象にデルファイ調査を実施し,68名が第2回調査まで参加した.調査票は国内外の文献から抽出し,既存ガイドラインとの整合性を確認した身体拘束適正実践のための標準手順内容46項目について「スタッフ全員が知るべき知識として重要であるか」「身体拘束実践適正化の方法として有効であるか」「実施可能であるか」を尋ねた.46項目中43項目について「知識として重要である」「方法として有効である」との合意に達し,身体拘束適正実践の標準手順内容として妥当であると考えられた.身体拘束をせずに患者1人だけを担当するなど,人員配置方法に関連する項目の有効性についての合意率は90%前後と高かったが,実施可能性については低かったため,人員の配置方法の工夫が必要と考えられた.また「看護管理者は身体拘束を実施していない状況下でデバイス抜去等が発生したとしても,身体拘束を実施していなかったことを責めない」など看護管理者の認識,行動,態度に関する項目の合意率は90%前後と高く,看護師は看護管理者のサポートを強く期待していることが明らかとなった.

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© 2023 一般社団法人 日本看護管理学会
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