日本看護管理学会誌
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原著
ICUへ異動した看護師の組織社会化
篠原 真里
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2024 年 28 巻 1 号 p. 104-113

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抄録

本研究は,ICUへ異動をした看護師の組織社会化について参入過程から明らかにすることを目的とした.これまで一般病棟の勤務経験のみでICUへ異動後,1~2年程度経過した看護師5名に半構造化面接を行い,ナラティヴ分析を用いて分析した.結果,12テーマを導いた.異動前は【キャリアを考え異動を決める】【異動が決まると保守的にもなり期待と不安を抱える】【ICUの情報収集をする】行動がみられた.参入後は【幅広い知識や技術の習得に困難を感じる】【ICUでの仕事ができることが認められる文化に直面する】【経験者であることから即戦力を求められる】【フォローしてくれる支援者の存在が大きい】【ICUの方法に疑問を抱くも病棟での方法を押し付けず体験しながら入り込む】過程を歩み,異動後1年経つと【重症患者を対象とする学びに1年かかる】【スタッフからの期待を感じる】【周りの動きをみながら緊急時やイベントに適した行動ができICUの一員となっていく】【病棟経験が評価されICUにはない新しい視点を入れる】ようになった.ICUへ異動した看護師は,過去の経験やICUに対する情報から,参入前の印象を形成していた.参入後は,独特な文化や異動者である立場から即戦力を求められることに戸惑いながらも,ICUスタッフや組織に働きかけ,意味づけを行っていた.異動者の過去の経験の尊重と,受け入れる際の良好な職場風土の必要性が示唆された.

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© 2024 一般社団法人 日本看護管理学会
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