2024 年 28 巻 1 号 p. 21-31
【目的】病院の看護管理者が認識する特定行為研修修了者の能力活用の実態を明らかにする.
【方法】2022年2月現在,就職先施設種別が病院となっている特定行為研修修了者の所属する関東甲信越の364施設の看護管理者に郵送で特定行為研修修了者912名分の調査依頼をし,看護管理者が認識する能力を活用できている群(以下,活用群とする)と能力を活用できていない群(以下,非活用群とする)で比較した.
【結果】調査対象の看護管理者90名分,特定行為研修修了者170名分の回答が得られた(回収率18.6%).活用群は107名(68.6%),非活用群は43名(27.5%)であった.活用群では「後続の研修修了者のサポート・指導」,「研修制度や研修修了者の活動についての組織的な周知活動」「修了者の活動内容や問題の共有ならびに改善策の検討」「組織ビジョンに基づく修了者の活動体制の調整」,「横断的活動ができるようにした」と回答した者,制度について積極的である者,組織のニーズをもとにした派遣者の決定をした者の割合が統計学的に有意に多かった.非活用群では特定行為研修修了者の能力活用が困難と回答した者の割合が統計学的に有意に多かった.
【考察】特定行為研修修了者の能力を活用するためには,効果を組織内で共有し,能力が発揮できる配置の検討,特定行為研修修了者自身による教育体制の確立が望まれていることが示唆された.